<ふくしまの10年・お先に花を咲かせましょう> (4)ボランティアが支え

2020年4月3日 02時00分

蒔田志保さんは愛知県出身。ボランティアを機に小高の街とつながった=Odaka Micro Stand Barオムスビで

 人々が避難し、無人となった小高の街の駅前で花を植え始めた双葉屋旅館(南相馬市小高区)の女将(おかみ)、小林友子さん(67)に苗を届けたのは、復興支援のボランティアたちだ。区西部の山間地のビニールハウスを借りて、ラベンダーやキンギョソウ、シバザクラなどを育てていた。
 原発事故の一年後から、日中の立ち入りはできるようになっていた。一時帰宅した人たちは、住めない自宅や荒れ果てた田畑に向き合うことになる。「花があったら気持ちも違うんじゃないかと考えた」。ボランティアの一人、脇亜希絵さん(40)は振り返る。地元の人たちが入居している仮設住宅に届けたり、出会った人に配ったりした。
 脇さんは福島県中通りの田村市出身。震災の時は仙台市で働いていた。一年後に退職して小高に。ボランティア同士で結婚して小高で暮らし、子どもも生まれた。京都に引っ越すことを決めたが「小高はこれからも大事な場所」という。
 この十年近くの時間について尋ねると「長かったような、短かったような…」と考え込んだ。「原発事故はあちこちに避難したり、他の災害とは苦しみが違う。震災は終わっていない」
 今、駅前には若者らが「人が集まれる場所を」とつくったカフェもある。店で働く蒔田志保さん(26)は、大学時代に学習支援のボランティアで小高を訪れたのが縁で、地元の男性と結婚した。「自分たちの挑戦を地元の人が喜んでくれることがうれしい」
 街の人たちは、それぞれに苦しみや悲しみをいっぱいに抱えている。お互い手を貸したくても余裕がなかったり、遠慮して助けを求めることができなかったりする時もあるだろう。外から来た人たちが差し出す手は、時にきっと大きな救いとなっている。

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