<寄席演芸の人びと 渡辺寧久>新真打ちの手足に 落語界の番頭 林家まめ平、林家なな子

2022年4月22日 07時36分

林家はな平(中)と、番頭のまめ平(左)、なな子

 落語協会(柳亭市馬会長)の新真打ち、林家はな平(37)が稼働する際に、ピタリと寄り添う男女二人の姿がある。落語界で「番頭」と呼ばれる存在だ。
 真打ち昇進が決まるのは、昇進披露興行が始まる約一年前。「その二、三カ月後に“新真打ちオリエンテーション”があり、協会から今後の流れを説明されます。そこでまず『番頭を決めて』と言われます」と、はな平。林家正蔵一門の後輩芸人、林家まめ平(41)と林家なな子(40)に依頼した。
 番頭といえば、ダークスーツに斜め掛けバッグが定番スタイル。その理由を「スーツは目印かなって思っています。寄席の楽屋ではすぐ番頭だと気づかれますから」と、なな子。「バッグには兄さん(はな平)から預かっているお金とメモ帳などが入っています」といい、結構な額になる新真打ちの財布の管理には緊張が走る。
 コロナ禍で今は自粛しているが、楽屋でののせもの(飲食物)の準備や打ち上げの差配なども番頭の手腕の見せどころ。

お客さまの受付や物販も番頭の大事な仕事=いずれも東京・浅草演芸ホールで

 ほかに、三点セット(手ぬぐい、扇子、口上書き)の発送、記者会見の裏方業務、弁当の発注、披露パーティーや寄席に手伝いに来る二つ目の配置、チケット販売など番頭の出番は多く、「新真打ちの手足になる。そんな感じですね」と、なな子。「番頭は大変ですが、いちばん間近で新真打ちを見ることができる特等席」と例える。
 はな平と前座期間が重なっていたまめ平は、「一緒に修業をしていたので思い入れも強く、兄さんが披露パーティーであいさつしているときにウルッてきましたね」としみじみ。と同時に「何年後かに同じことをやるのか。できるかなぁという思いが半分、頭の中を占めていました」。
 今回昇進した四人(三遊亭律歌(りっか)、蝶花楼桃花(ちょうかろうももか)、柳家風柳(ふうりゅう)、はな平)の番頭は、全部で六人。そのとりまとめ役=総番頭を林家扇(32)が務める。
 「兄さん」「姉さん」と慕っていた先輩を支える七人衆の奮闘は、東京・国立演芸場の楽日(五月二十日)まで続く。 (演芸評論家)

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