激戦の王位リーグが大詰め、優勝の行方は 藤井聡太王位への挑戦権かけ 新鋭・伊藤匠五段も好位置

2022年4月22日 21時27分
 将棋のお~いお茶杯第63期王位戦(東京新聞主催)の挑戦者決定リーグが大詰めを迎えている。リーグは12人の棋士が紅白2組に分かれて争い、各組の優勝者が藤井聡太王位(19)=五冠=への挑戦権を懸け、決定戦で激突する仕組み。22日までに両組とも全5回戦のうち4回戦までの日程を消化。いずれも全勝者が消える大混戦となった。ここまでのリーグの進行を振り返り、熾烈しれつを極める優勝・残留争いの模様を解説する。(樋口薫、世古紘子)

第63期王位リーグ、4回戦終了時点での勝敗表

◆豊島九段、近藤七段、伊藤五段が紅組優勝争い

紅組最終局に優勝の可能性を残す豊島将之九段(右)と近藤誠也七段(左)=大阪市の関西将棋会館で

 紅組は4月15日、大阪の関西将棋会館で指された豊島将之九段(31)と近藤誠也七段(25)の対局が、全勝者同士の大一番となった。豊島九段の先手で相掛かりの戦型となり、昼食休憩の直後に豊島九段が1筋から仕掛けた。後手は1筋からの逆襲を狙ったが、先手はと金をうまく働かせ、流れるような攻めで後手玉を受けなしに追い込んだ。
 過去の対戦では、豊島九段に2勝0敗と相性の良かった近藤七段。リーグ開幕時から「挑戦を目指す」と飛躍を誓っていただけに、この日は痛恨の敗戦となった。「もっとゆっくり指すべきところを暴発してしまった。今日は残念だったが、(最終局は)切り替えて頑張りたい」と語った。
 前期7番勝負で挑戦に失敗し、リベンジを目指す豊島九段がこのまま走るかと思われたが、若手強豪のひしめく紅組はそう甘くなかった。22日に関西将棋会館で指された豊島九段と佐々木大地六段(26)の対局は、先手番の豊島九段の速攻を妙防の角で受け止めた佐々木六段の快勝となった。

王位戦初参加でのリーグ優勝をうかがう伊藤匠五段=東京都渋谷区の将棋会館で

 同日、東京・将棋会館では、王位戦初参加の新鋭・伊藤匠五段(19)が黒沢怜生六段(30)との大激戦を制し、1敗を堅持。藤井王位と同年の大器は「最後まで消化試合を作らないのが目標だった。(優勝は)意識せず、豊島先生に教わることを楽しみにして臨みたい」と、最終局への抱負を語った。
 紅組は3勝1敗の豊島九段、近藤七段、伊藤五段の3人が優勝を争う構図に。最終局は豊島九段―伊藤五段、近藤七段―佐々木六段という注目の組み合わせになっている。豊島九段―伊藤五段戦の勝者は4勝1敗となり、近藤七段が勝った場合は両者でプレーオフ、近藤七段が敗れた場合は単独優勝が決まる。
 また、リーグ残留を懸けた2位争いも熾烈となっている。佐々木六段は挑戦の可能性はないものの、最終局に勝てば、直接対決や前期成績の結果から、もう1局の結果にかかわらず2位が確定する。1敗の3棋士にとっても、最終局は負ければリーグ陥落という厳しい戦いになる。

◆羽生善治九段が初陥落のピンチ

白組の暫定首位に立っている池永天志五段=東京都渋谷区の将棋会館で

 一方の白組は13日、ここまで3勝0敗と唯一の全勝者である池永天志五段(29)が、0勝2敗で勝ち星のない羽生善治九段(51)と、東京・将棋会館で激突した。王位獲得18期のレジェンド、羽生九段は第34期(1993年)にリーグ入りし、そのまま王位を獲得して以降、今期までの30年、一度もリーグからの陥落がないという驚異的な記録を維持している。あと1敗すれば初の陥落が濃厚となる背水の陣で、後手番の羽生九段は一手損角換わりという意表の作戦を選択した。

リーグ残留に向けて負けられない羽生善治九段=東京都渋谷区で

 池永五段は積極的な踏み込みで後手陣に迫ったが、羽生九段が的確に対応。手番が回ってくると、2枚の角を使った鋭い寄せで一気に勝負を決めた。1月以降、7連敗中だった羽生九段。「(一手損角換わりは)たまに指す戦法で、気分を変えてみようと思った。自分なりにうまく指せた1局だった」と振り返り、連敗ストップについては「少しほっとしました」と安堵の表情を浮かべた。羽生九段は19日の千葉幸生七段(43)戦でも劣勢の将棋をひっくり返し、リーグ残留に望みをつないだ。

王位戦と相性のいい澤田真吾七段も、白組の暫定首位につけている=東京都渋谷区の将棋会館で

 

白組で逆転優勝を狙う糸谷哲郎八段=東京都渋谷区で

 白組は4局を終え、澤田真吾七段(30)と池永五段の2人が3勝1敗、羽生九段と糸谷哲郎八段(33)が2勝2敗で追う。最終局では羽生九段と澤田七段、糸谷八段と池永五段がそれぞれ激突する。澤田七段と池永五段がともに勝った場合はプレーオフ、どちらかが勝った場合は勝った方の単独優勝だが、いずれも敗れた場合は少し複雑になる。
 王位リーグは3勝2敗で4人が並んだ場合、プレーオフが開かれず、直接対決の結果で順位を決める規定がある。このため該当する4者間の成績が1勝2敗となる澤田七段、池永五段のリーグ陥落が決定。2勝1敗となる羽生九段、糸谷八段のうち、直接対決で勝利した糸谷八段が優勝、羽生九段が2位となる。このため、白組で優勝の可能性があるのは澤田七段、池永五段、糸谷八段の3人となっている。既に挑戦の芽がない羽生九段だが、最終局に勝てば必ず2位となり、リーグ残留が決まる。
 注目の最終5回戦は5月2日、東西の将棋会館で一斉に指される。

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