原発避難者側、国の責任あらためて主張 群馬訴訟、最高裁で弁論 夏にも統一判断

2022年4月22日 22時49分
最高裁判所

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 東京電力福島第一原発事故で福島県から群馬県に避難した住民ら約90人が、国と東電に損害賠償を求めた訴訟の上告審弁論が22日、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)で開かれた。上告中の同種の4訴訟で、弁論は千葉訴訟に次ぎ2件目。最高裁は夏にも統一判断を出すとみられる。
 群馬訴訟では、一審の前橋地裁は国の責任を認め、賠償を命じたが、東京高裁は「津波対策に関する国の対応に問題があったと認めることは困難」とし、4訴訟の二審判決で唯一、国の責任を認めなかった。
 この日の弁論で原告側は、原発が「津波により損傷を受ける恐れ」がある場合、経産大臣は東電に対策を命令できると定めた電気事業法や経済産業省令について、「疑わしきは安全のため」の観点で対策を取ることを趣旨としたものだと主張。「政府の地震予測『長期評価』を踏まえ、経産大臣は命令を出さなければならなかった」と訴えた。
 一方、国側は長期評価の信用性を否定した上で「仮に対策をしても、想定とは全く異なる津波で事故を防げなかった」とした。
 4訴訟では、いずれも東電への賠償命令はすでに確定している。

◆「事故で流した涙 無駄にしないで」

「レベル7の重大過酷事故を起こしておいて国は責任を逃れるなんて、絶対に許せない」。原告側の意見陳述では、福島県いわき市から前橋市に自主避難した丹治杉江さん(65)が時折声を詰まらせながら訴えた。
 夫婦で家電品の修理専門店を営んでいた丹治さん。事故が原因で、いつも友人でにぎわった店を閉めた。修理で預かっていたワープロは「放射能が付いただろうから返してもらわなくてもいい」と言われてショックを受けたことを陳述。「失ったものは取り返しのつかないものばかり。東電からわずかな賠償金が支払われただけで責任が果たされるわけではない」と涙をこらえながら語った。
 また、同じいわき市から群馬県に避難したシングルマザーの女性原告の苦境についても紹介。小学生だった女性の2人の子どもは転入先の学校で「放射能がうつる」といじめられ、「福島に帰りたい」と泣きじゃくったという。
 丹治さんは、原告約90人のうち病気などですでに4人が死去していることにも触れ、「事故で流した涙、奪われた命や暮らしを無駄にしないため、被害者の塗炭の苦しみに正面から向き合い、国には事故の法的責任があることを確定してほしい」と強調した。(小沢慧一)

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