古いもの 良さ伝えたい 『商店街さんぽ ビンテージなまち並み50』 フリーライター・あさみんさん

2022年4月24日 07時00分

北島三郎記念館(北海道函館市、現在休館中)でサブちゃんの像(右)と

 古い街並みが好きで日本各地巡ってきた。現代とは違うデザインや機能、古いものならではの風合いや質感。経年変化によって作られた、現代とのギャップがおもしろい。
 二〇一四年、同じ趣味である福岡の友人に連れられ、初めて旦過市場(たんがいちば)を訪れた。友人は私にここの光景を見せたかったという。昭和の時代の建物が平成になっても現役で、しかも市場内は活気に満ちている。こんな世界があるのか! 衝撃と感動を覚えた私はその後、歴史ある商店街を次から次へと巡るようになった。
 しかし調べるほど、すでに消滅したり、リニューアルしたりした商店街も多い。特にアーケードは維持費がかかるため撤去される。
 アーケードのある商店街は特に惹(ひ)かれる。それはアーケードに付属する照明や看板がずらりと並ぶ光景や、アーケードから差し込む光が美しく、味わい深いのだ。もっとこの景色が見たい。
 本書では、こうして巡ってきた三百以上の商店街から、特に記憶に残る五十カ所を掲載した。壮観の統一規格の看板や見惚(ほ)れる照明など、実際に足を運んで見てほしい。中には製作の最中になくなってしまったアーケードや閉店した店もある。今も現在進行形で街並みは変化しているのだ。
 いつしか古いものばかりでなく、古いものの良さを知るには新しいものも知らなければならないと、チェーン店が立ち並ぶような繁華街の商店街も行くようになる。商店街を使う人にとっては新しくキレイな街並みのほうがいいに決まっているだろうと気づいた。先の旦過市場は火災もあって建て替え間近だ。しかし私と同じように、古いものが好きな人もいるはずだ。
 商店街関係者の中には「アーケードそのものが時代遅れで田舎の象徴」「古いものを使い続けているのは恥ずかしい」と話す方もいた。私はまずその価値観を変えていきたい。商店街の良さ、味わいを発信し、価値を高めていきたい。そのためには私だけでなく多くの人が同じように思い、行動することが重要である。今まで誰も寄り付かなかった場所が、遺産に登録された途端、観光客が来る。昔は共通認識だった概念すらも現代では変わることがある。いつしかアーケード商店街が遺産として、国によって保護される日が来るのではないだろうか。 =寄稿
 学芸出版社・二四二〇円。

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