富士山噴火なら降灰で鉄道停止 中央防災会議部会 7都県想定

2020年3月31日 16時00分
 富士山の大規模噴火に伴う火山灰の影響を検討していた政府の中央防災会議作業部会は三十一日、首都圏の被害想定を初めて公表した。噴火十五日目までの累計で東京都新宿区に灰が十センチ積もるなど最も被害が大きいケースでは、地上を走る鉄道の停止が想定対象の七都県全てで発生。道路の通行に支障が出るほか、降灰三ミリで配電設備の不具合による停電が起きる。内閣府など関係省庁は四月以降、対策を検討する。
 七都県は茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡。作業部会は「死者発生の可能性は低いが、鉄道や車での移動が制限される。停電や断水などが広範囲に及び、社会的混乱が発生する」と強調した。
 被害想定は同日まとめた報告書案に盛り込んだ。一七〇七年の「宝永噴火」をベースとし、風向きなどが異なる三つのケースを作成。事前対策や復旧作業をしなかったと仮定し、噴火三時間後から十五日目までの被害の広がりを時系列で地図上に示した。被害が発生する市区町村名は公表していない。
 被害が最大のケースでは、噴火の直後から東京を含む区域でさまざまな影響が発生。鉄道は微量の灰でも走れなくなるとして、噴火十五日目に七都県の広範囲で運行不能となる。道路は、乾燥した火山灰は十センチ、雨でぬれている場合は三センチで二輪駆動車が走行不能になる。
 灰の重みで木造家屋が倒壊する恐れがあるのは、静岡、山梨の他、神奈川北部から東京の一部までを含む。報告書案は倒壊で人的被害が出る恐れがある場合は、早期避難が必要と指摘。その他の地域では、可能であれば避難を求めた。処分が必要な火山灰の量は、東日本大震災で出た災害廃棄物の約十倍に当たる四億九千万立方メートルと推計した。
<富士山の噴火> 古文書など歴史資料では、少なくとも10回起こったことが確認されている。最も古いのは781年。溶岩流の規模が最大だったのは864年の「貞観(じょうがん)噴火」で、流れ出た溶岩の上に青木ケ原樹海が形成された。1707年の「宝永噴火」は、噴出した灰や石などの「火砕物」が最大で、都心付近にも灰が積もったとされる。それ以降、噴火は約300年間確認されていない。

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