<新型コロナ>6職員次々発熱 感染疑わず 千葉の施設「まん延、想定外」

2020年3月31日 02時00分
 新型コロナウイルスの感染者八十六人が確認された千葉県東庄(とうのしょう)町の障害者福祉施設「北総育成園」では、今月十日以降、複数の職員が発熱していたのに異常を認識していなかったことが県への取材で分かった。県は職員間の感染から施設全体にまん延した可能性があるとみている。九十六人の感染者が判明している東京都台東区の永寿総合病院では、都は院内感染が起きた可能性が高いとみている。
 千葉県や北総育成園によると、園では十日、二十日、二十三日に職員が一人ずつ発熱。二十四日も二人、二十六日も一人の発熱が判明した。このうち二十三日に発熱した四十代の女性職員が高熱が続くため二十七日に検査を受けたところ、感染が判明。二十八日から他の職員や利用者を検査し、国内最大規模のクラスター(感染者集団)が確認された。
 同園の入所利用者は七十人で、重度の知的障害の人が多い。個室で生活し、食事は数人ずつで一緒に取り、職員が介助することもある。園によると、職員のマスクは足りており、職員の検温を一日一回していた。高熱の職員は休ませる対応もしていたという。園側は「今振り返れば職員の発熱が続いていたが、その時に集団感染を想像することはできなかった」と説明している。
 県は「職員と利用者の接触の機会はかなり多く、感染が広がったのではないか」と分析。医師免許を持つ県の久保秀一・健康危機対策監は「(無症状感染の中に)潜伏期間中の人がかなりいて、これから発症する人が多いと考えられる」と警戒する。
 永寿総合病院では医師や看護師、入院患者ら九十六人の感染が判明し、二人が死亡している。
 都によると、入院患者と医療従事者約七百人の検査を進めており、近日中に終える見通し。詳しい感染経路は調査中だが、都は院内感染の可能性が高いとみている。
 同病院のベッド数は台東区内最多の四百床。二次救急医療機関や災害時の医療拠点としての役割を担っている。同病院の分娩(ぶんべん)件数は三百五十九件で、区への出生届件数の16%にあたる。
 同病院は二十五日から外来診療を休診。区の担当者は「地域医療を支える中核の病院。かかりつけ医として利用している人にとっては命にかかわる重大な問題」と危惧(きぐ)している。 (中谷秀樹、松尾博史)

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