小中高生、いじめ防止法「知ってる」1割未満 こども家庭庁「子どもの意見聞いて」 3万人アンケートで

2022年4月24日 06時00分
 いじめ対策の基本を定める「いじめ防止対策推進法」を「知っている」と答えた小中高生は約1割―。いじめ問題に取り組む埼玉県のNPO法人が全国約3万人の小中高校生を対象に実施したアンケートで、こんな結果が出た。同法が制定されて約9年たつが、深刻ないじめは後を絶たない。原因の一つとして、NPOは同法が知られていないことを挙げ「認知率を上げる取り組みが早急に必要」と指摘する。(柏崎智子)
 アンケートしたのは、「プロテクトチルドレン」(同県川口市)。年間1000件を超えるいじめ相談に対応している代表の森田志歩さんが、これまでつながりを持った全国の教育委員会と小中高校に依頼し、1~2月に実施。約3万人が答え、そのうち有効回答数は約2万6600人(内訳は小学生約9100人、中学生約1万1500人、高校生約6000人)だった。

◆「法律を教えてもらえない」

 いじめ防止法を「知っている」と答えたのは8.9%。「知らない」は64.3%、「内容がわからない」は25.7%だった。「知っている」との回答は、小中高別で見ても大きな差はなく、1割前後だった。
 自由記述では「子どもたちのいじめの法律なのに教えてもらえない」「みんなが分かるようにしてほしい」(小学生)、「聞いたことはあるけど何も分からない」(中学生)、「このアンケートで知った」(高校生)などの声が上がった。
 同法は、いじめの定義や学校や教委の責務などを明記し、いじめが起きたら事実確認して子どもや保護者を支援し、重大なケースでは調査を行うーとする。しかし、森田さんが相談を受ける学校現場では、子どもがいじめを訴えても法にのっとった対応がされていないことが珍しくない。子どもに加え、保護者も法を知らないため、不適切な状態に置かれていてもどうにもできず、追い詰められているという。
 「子どものためにつくられた法律が、子どもとつながっていない。きちんと教え、守られる権利や主張する権利があると伝えれば、子どもが主体的に法律を使えるようになる」と森田さんは話す。

いじめ防止対策推進法 大津市での中学生いじめ自殺事件(2011年)をきっかけに13年6月に制定され、同9月に施行。いじめを「一定の人間関係がある児童生徒の行為で、対象者が心身の苦痛を感じているもの」と定義し、いじめが疑われる自殺や長期欠席などを「重大事態」と位置付けた。学校には文部科学省や自治体への報告が義務付けられ、速やかに事実関係を調べ、被害者側に適切な情報提供をするよう定めている。

◆願いはすぐに助けてもらうこと



 また、アンケートでは、政府が来年4月の発足を目指す子ども政策の司令塔「こども家庭庁」や子どもに関わる法律や政策の決め方についても質問。「子どもの意見も聞いてほしい」と「大人と子どもが一緒に話し合ってつくりたい」が合わせて8割超に上った。自由記述でも「子どもたちのためにつくるなら意見を聞いてほしい」(中学生)などの回答があった。
 森田さんは「こども家庭庁の議論に子どもを参加させるべきだ。当事者に意見を聞かなければニーズと違うものになり、がっかりさせる結果になる。相談してくる子どもたちの共通した願いは、すぐに助けてもらうこと。大人考えや都合だけでは実現できない」と訴えている。
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