<新型コロナ>感染警戒でマッサージ離れ 視覚障害者の生計直撃

2020年3月30日 16時00分

治療院でベッドを整える河野孝志さん=東京都豊島区で

 新型コロナウイルスの感染拡大で、視覚障害者が行うマッサージの仕事が減っている。感染を防ぐため施術の対象となる高齢者施設などへの訪問が休止され、マッサージ師からの感染を心配する客が利用を控えているためだ。収入がなく、「生活できない」などと悲痛な声が上がっている。 (中村真暁)
 「これからどうなるのか」。弱視や全盲などのマッサージ師二十二人を、地元の高齢者施設七カ所に派遣しているNPO法人「アイ夢(ム)サポート」(東京都台東区)の中村輝彦理事長(75)は、不安を口にする。
 同法人は区から委託され、施設に週六日、マッサージ師一~二人を派遣。高齢者一人当たり二十~三十分、マッサージしている。だが二月二十八日から休止になり、マッサージ師たちの収入はゼロになった。
 豊島区でマッサージ・はりの治療院を開く全盲の河野孝志さん(55)も三月下旬に入って予約がなく、「利用者が三割ほど減っている。続けば、節約して生活するしかない」。企業のテレワークが進んで客が職場帰りに寄らなくなったり、マッサージ師からの感染を心配して自粛したりしていると感じている。
 都按摩(あんま)マッサージ指圧師会の会員約三百人のうち視覚障害者は三割ほど。会員から「仕事が激減した」といった声が連日、寄せられている。自身も全盲の笹原稔会長(73)は「ぎりぎりの収入で生活している視覚障害者は多く、少し仕事がなくなっても苦しい」と打ち明ける。
 厚生労働省の調査(二〇〇六年)によると、就労する視覚障害者のうち「あんま、マッサージ、はり、きゅう」の仕事が29・6%と最多。しかし、これに代わってすぐにできる仕事は他にないのが実情だ。河野さんも「できる仕事は限られている」と肩を落とす。視覚障害者の仕事の現状について理解が進んでいないことも、この激減で「露呈した」と中村さんは指摘する。
 笹原さんは「マッサージを受ける高齢者らの健康にも直結しており、行政は助成などの措置を鑑みてほしい」と訴える。

◆ホットライン、あすまで

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、視覚障害者らから「日本視覚障害者団体連合」(東京都新宿区)に、厳しい生活の現状を訴える声が相次いでいる。
 「高齢者施設などであんまマッサージや、はり、きゅうなどの仕事がなくなった」「店頭の列に並べなかったり、入荷時期の張り紙が読めなかったりして、マスクが手に入らない」など。こうした声を受け、同連合は状況を把握しようとホットラインを二十三日に開設。二十八日までに約三十件も寄せられた。
 課題をまとめて四月にも、国や関係機関に改善を要望する。担当者は「早急な対応や支援策が求められている」と話す。
 電話やファクス、メールで三月末まで受け付ける。電話は平日午前十時~午後四時(正午~午後一時を除く)、同連合の総合相談室=03(3200)0011=へ。

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