ウクライナの次はモルドバか ロシア軍の副司令官、異例の言及 NATOへの圧力狙いか

2022年4月23日 23時00分
 ロシア中央軍管区のミンネカエフ副司令官は22日、軍事作戦は第2段階に入ったとし、ウクライナに次ぐ標的としてモルドバの国名を挙げた。ロシアでは、ウクライナの首都キーウ(キエフ)の攻略を断念したことへの不満がくすぶっており、親欧米政権が2年前に誕生したモルドバへの侵攻を示唆することで、ロシア国内の主戦論者らの不満を鎮めたい思惑があるとみられる。

モルドバ 九州ほどの面積でワインが特産。ロシア帝国、オスマン帝国(トルコ)、ルーマニアの間で編入争いの対象となったが、ソ連が1940年にナチス・ドイツとの独ソ不可侵条約秘密議定書に基づき併合した。親ロ派住民が樹立した自称「沿ドニエストル共和国」は独自の行政機構や通貨があり、ロシア語が公用語。欧州連合(EU)入りを目指す一方、NATO加盟は希望していない。


モルドバのサンドゥ大統領=AP


◆「ロシア語を話す者が迫害されている」主張

 インタファクス通信によるとミンネカエフ氏は、キーウ周辺から部隊を撤収させた後の「第2局面」の作戦目標は「東部ドンバス地域と南部を完全なる管理下に置くことだ」と説明。ミコライウ州とオデッサ州を制圧することで「(ウクライナと同様に)ロシア語を話す者たちが迫害されているモルドバまで到達できる」と述べた。モルドバでの軍事行動の可能性を表明するのは異例。
 2014年に併合したクリミア半島からモルドバまで占領地域を広げ、同国に隣接する北大西洋条約機構(NATO)加盟国のルーマニアなどをけん制することで、NATOへの圧力を強める狙いとみられる。

◆「非ナチ化」称し、軍事干渉求める声も

 ロシアでは、ウクライナへの連帯を示す東欧各国を「ロシアを敵視するナチス的政府だ」とする主張が一部で拡大。内務省国家親衛隊幹部らがキーウ攻略にこだわる一方で、モスクワ市議会では「非ナチ化」と称し、軍事干渉をモルドバやポーランドで行う必要があるとの声が上がっていた。
 ミンネカエフ氏の発言を受けてモルドバ外務省は22日、首都キシニョフにロシア大使を呼び出し「モルドバの主権と領土の一体性を支持するロシアの立場と矛盾する」と、懸念を伝えた。サンドゥ大統領も同日、ロシアの影響力を弱めるため、欧州連合(EU)への加盟を急ぎたい考えを表明した。
 ルーマニア系民族が多数を占めるモルドバではソ連崩壊後、ロシア語を母語とするロシア系住民らの分離独立勢力が、自称「沿ドニエストル共和国」を樹立。ロシアが「平和維持」の名目で共和国に軍を送り込み、モルドバの一部を30年にわたって占領してきた。

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