自転車、保険を義務化 都、1日から条例施行 高額賠償備え

2020年3月30日 16時00分

自転車の点検を受けると、保険が自動付帯されるTSマークについて、客に説明する岩崎猛さん(左)=東京都葛飾区で

 東京都は4月1日から自転車利用者の保険加入を義務付ける条例を施行する。都内の交通人身事故のうち、自転車が関係した事故の割合は近年増え、昨年は39%を占めた。事故を起こしても、高額な賠償金を支払えない加害者もおり、都の担当者は「被害者を守ることにもなるので、保険に加入をしてほしい」と呼び掛ける。 (井上真典)
 「義務化を知ったお客さんの問い合わせが増えている」。今月中旬、サイクルプラザ・イワサキ(葛飾区)店主の岩崎猛さん(52)は来店した女性に、点検を受けると保険が一年間自動的に付く「TSマーク」を丁寧に説明していた。
 都条例は、自転車の利用者や保護者に対人賠償保険の加入を義務付け、店側にも購入者に保険の加入確認などを努力義務で求めているのがポイントだ。いずれも罰則はない。首都圏では神奈川と埼玉の両県が条例で自転車保険の加入を義務化している。
 都の担当者は「火災や自動車保険の特約で知らずに自転車保険に入っていることもある。契約期間を確認してほしい」と話す。
 警視庁によると、自転車同士や歩行者との事故は、過去五年間で四割増え、昨年は二千二百四十四件。自転車産業振興協会(品川区)によると、二〇一八年五月時点で、都内の自転車保有台数は推定約八百十六万台で、自転車保険加入率は36・4%と全国で十八番目。
 自転車事故の民事訴訟では高額賠償の判決が出ている。東京地裁は一三年三月、江戸川区のサイクリングロードで散歩中の男性=当時(77)=をはねて死亡させた男性に二千百万円を命じている。交通事故訴訟に詳しい中村直裕弁護士は「加害者が高額賠償を命じられ、自己破産した例もあり、被害者は補償を受けられず泣き寝入りすることもある」と実態を語る。
 妻が小学生の自転車にはねられ、重度の障害を負った神戸市北区の中石鐘美さん(72)は「保険の加入は当然」と話す。神戸地裁は一三年七月、保険に未加入だった小学生の母親に約九千五百万円の賠償を命じ、母親はその後、自己破産した。中石さんは「保護者は子どもが保険に入ったから大丈夫と安心しないでほしい」と訴える。

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