羽田新ルート、急角度着陸5割台止まり 2月実機飛行 機長らに警戒感

2020年3月28日 02時00分
 通常より急角度着陸の羽田空港新飛行ルートの運用が二十九日から始まるのを前に、航空各社が二月に実施した「実機飛行確認」で、原則通りの急角度で着陸した旅客機の比率は50%台後半程度にとどまったことが分かった。半数近い機長が安全性への考慮などから降下途中に着陸角度を変更。急角度への機長らの警戒感が浮き彫りになった。
 実機確認は、客を乗せた旅客機を新ルートで着陸させた飛行。国土交通省は「ルート下の住民のための騒音軽減」を理由に新ルートでは原則、着陸角度を通常の三・〇度から三・四五度に引き上げる方針。ただ悪天候時などは途中で三・〇度に下げることも認めている。
 計七日あった実機確認で四百十二機が原則通りの三・四五度の急角度で着陸体勢に入った。しかし、国交省がこれらの旅客機を八カ所から測定したところ、急角度着陸を原則通り維持した旅客機は七カ所からの測定で50%台にとどまっていた。残りの旅客機は着陸途中でより緩やかな三・〇度に切り替えていた。最も多い三百六十三機を調査できた東京都品川区地点からの測定では急角度を維持していたのは約56%だった。
 日本航空と全日本空輸は今月上旬の記者会見で、実機確認した機長へのアンケートを公表。日航は回答者五十三人のうち三・四五度のまま着陸したのは約二割と説明した。松並(まつなみ)孝次機長は「より慎重な判断で(多くの機長が途中で)三・〇度に変えたと認識している」と語った。全日空は回答者中「三・四五度で降りた」と答えた機長は五十一人中二人。その二人も三・〇度に切り替えた可能性があるとした。
 国交省幹部は「着陸は安全最優先。急角度着陸は『できるだけ』という意味」と話すが、元日航機長で航空評論家の杉江弘氏は「羽田の急角度着陸は皆初めて。誰だって怖い」と機長の心理を推し量った。
 国交省は実機確認での騒音は「三・四五度の方が三・〇度より、十九カ所の測定所の平均で〇・一~一・一デシベル小さかった」と強調。だが一デシベル程度は「騒音計の誤差より小さいほどの値」と話す専門家もいる。新ルートに反対する住民団体「羽田問題解決プロジェクト」の大村究代表は「一デシベル程度の違いのための急角度着陸は無謀で(住民に)危険。『住民のため』というのは論理破綻だ」と話す。 (池井戸聡)

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