Twitter社が一転、イーロン・マスク氏の買収提案を受け入れ 買収額5兆6000億円 投稿規制を大幅緩和か

2022年4月26日 09時37分
米サンフランシスコのTwitter本社(AP)

米サンフランシスコのTwitter本社(AP)

 【ワシントン=吉田通夫】米短文投稿サイト・ツイッターは25日、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の買収提案を受け入れると発表した。買収額は約440億ドル(5兆6000億円)で、買収完了後は上場を廃止し非公開企業となる。各国首脳や著名人ら1日約2億人超が利用し日本でも人気の交流サイト(SNS)は、大きな転機を迎える。
 マスク氏が全額出資する企業が、1株当たり54・20ドルで全株式を買い取る。ツイッターの取締役会は、同氏の買収提案を全会一致で承認した。当局の認可が得られれば、年内に買収手続きを終える見通し。
 ブレット・テイラー会長は「提案は株主にとって多額の現金を得られるもので、最善の道だと信じている」と説明。マスク氏は「ツイッターは非常に大きな可能性を秘めており、会社や利用者と協力して可能性を解き放つ」とコメントした。これまでに、マスク氏はツイッターを買収する理由について「言論の自由を守る」と強調。投稿管理に強い不満を示しており、買収後は規制を大幅に緩和するとみられる。
 マスク氏は今月4日にツイッターの9%分の株式を保有していることが判明。14日には残る全株の取得を提案したことも分かった。ツイッターは15日に買収防衛策を導入し敵対的買収に発展するとみられたが、一転して買収提案を受け入れた。
 米紙ウォールストリート・ジャーナルは関係者の話として、マスク氏が22日に複数の株主に自身の提案をアピールし、その後ツイッター経営陣の方針が変わったと報じた。同社は広告収入が伸び悩み株価も低迷していたため、株主がマスク氏の提案に賛同し、経営陣に圧力をかけた可能性がある。

◆「無秩序な言論空間」に陥る懸念も

 <解説>ツイッターを買収するイーロン・マスク氏は「言論の自由の至上主義者」を自任し、投稿規制の緩和を示唆する。暴力的な書き込みや偽情報の拡散が社会や国家を揺るがす今、世界全体が混乱に陥る懸念がある。
 「言論の自由は民主主義の基盤で、このままではツイッターは社会的要請に応えられない」。マスク氏は、14日に公表された米証券取引委員会への提出文書で訴えた。ツイッター上では、理由が分からないまま投稿が削除されたりアカウントが凍結されたりして不満を訴える利用者もいる。自身の過激な書き込みも物議を醸してきたマスク氏は、こうした投稿規制を「検閲」と非難してきた。
 ツイッターなどSNSの規制強化には背景がある。2016年にロシア発とされる偽情報が米大統領選を左右し、昨年1月にはトランプ前大統領のアカウントが議会襲撃事件をあおったとして永久に凍結された。今は、ウクライナ侵攻を巡る情報戦の渦中にある。
 一方、マスク氏は「(違法かどうか)グレーの書き込みは削除せず残すべきだ」「アカウントの永久凍結には慎重であるべきだ」と、規制を大幅に緩和する考えを示す。言論の自由は民主主義の金科玉条だが、暴力やうそを容認する「無秩序な言論空間」に陥れば、世界の混乱を加速させる危険をはらむ。(ワシントン・吉田通夫)

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