<社説>総合緊急対策 暮らし守る熱意足りぬ

2022年4月27日 07時43分
 岸田文雄首相が物価高騰に対応するため「総合緊急対策」を発表した。ガソリン抑制策や低所得者支援を軸に約六兆二千億円の国費を投入する。ただ対症療法的なメニューが主で、暮らしを守る熱意が足りないのではないか。
 対策の目玉はガソリン価格の抑制。石油元売りに配る補助金の上限を引き上げ、期間も延長する。
 ガソリン高騰は家庭や飲食店を含む中小事業者に強い打撃を与えており、最優先課題である。ただ価格は高止まりしており補助金の効果は限定的といえる。ガソリン税の一部課税停止で価格を抑えるトリガー条項の実施も盛り込むべきではないか。
 所得の低い子育て世帯に対しては子ども一人当たり五万円を支給するほか、地方創生臨時交付金を活用した自治体ベースの生活困窮者支援も強化する。
 低所得者への給付に関しては、対策のたびに線引きをめぐる批判が噴出し不公平感が残る。子どものいない世帯や一人暮らしでも生活に困窮する世帯は多い。首相には、なぜ子育て世帯を優先するのか丁寧な説明を求めたい。
 暮らしを救うには消費税や所得税を視野に入れた減税も選択肢に入るはずだ。減税は複雑な財政出動と比べ国民に分かりやすく消費刺激効果も確実に見込める。
 ただ首相は一貫して減税に否定的だ。景気対策の定石ともいえる減税に踏み込まない理由についても説明がほしい。
 対策の財源は予備費と補正予算案を組み合わせた。当初、首相や自民党は予備費だけでまかなう方針だったが、公明党の反論で補正が組み込まれた。
 予備費は国会審議を経ずに政府判断で使え、チェックが甘くなる。参院選を控え、国会での厳しい追及を避けるために予備費の活用に固執していたのなら猛省を促したい。
 さらに今回、コロナ禍対策で計上されていた予備費を物価対策に使う。予備費の使途変更を安易に見過ごせば今後、流用が横行しかねない。国会審議で野党はこの問題を徹底的に追及すべきだ。
 コロナ禍とウクライナ侵攻、円安による三重苦の中、賃上げが伴わずに物価が上昇すれば多くの世帯が生活苦に陥り国は衰退する。足元の対策と並行し、未来を見据えた中長期的な経済ビジョンも国民に提示すべきである。 

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