他と比べて突出…テロ対策を軽視していた東電柏崎刈羽原発 規制委が検査の中間報告

2022年4月27日 19時15分
 原子力規制委員会は27日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で常態化していたテロ対策の不備を巡り、東電に対する検査の中間報告をまとめた。東電福島第一、第二の各原発や他社の原発に比べて、突出してテロ対策をおろそかにしていた実態が明らかとなり、「柏崎刈羽の固有の問題」と判断した。
 東電は福島第一原発事故を起こしたにもかかわらず、経営再建の柱として柏崎刈羽の早期再稼働を目指してきた。だが検査でも、改めて原発の運転資格がないことが鮮明に。東電は社内体制を見直して改善を進めているものの、規制委が昨年4月に出した柏崎刈羽の運転禁止命令が解除される見通しは立っていない。
 報告によると、不備が相次いだ2020年ごろ、テロ対策責任者は労働安全などの部署の統括も兼任し、聞き取りにテロ対策に関わる割合は「5分の1程度」と説明。不備が起きたときに対応を議論する会議に出席せず、対策本部にも年に4回ほどしか行かなかった。経営幹部の立ち会いもほとんど無く、他の原発と大きく異なる状況だった。
 侵入検知器が故障した際も、監視員は他の業務を掛け持ちながらカメラでの監視などをして、複数の機器が壊れても増員しなかった。柏崎刈羽と同じような豪雪地域にある他社の原発では、検知センサー近くに電熱線を巻くなどして凍結を防いでいるが、何ら対策も講じず、福島第二原発での検知器故障の再発防止策を共有すらしなかった。
 一連の不備は、福島第一原発事故後に東電が始めたコスト削減をきっかけに起きた。柏崎刈羽では十分な検討をせずに侵入検知設備や保守管理を委託から自社運用に切り替えたが、福島第二では警備の質が維持できない、と判断して切り替えを見送っていた。
 一方、規制委は、東電のコスト削減が他の安全確保策に影響を及ぼしていないかも調べたが、問題は見つからなかったという。今後は警備設備面の強化などを検査の重点項目とする。
 運転禁止命令の解除には、検査で「東電が自律的に改善が見込める状態」と判断することが必要となる。更田豊志委員長は「原発事故の当事者の東電は危機感が強くて当たり前なのに不備が起きた。人がミスをしても防護できる設備になっているかを重視してほしい」と検査チームに指示した。(小野沢健太)

柏崎刈羽原発のテロ対策不備 2020年3月以降、侵入検知装置が多数故障し、代わりの対応も不十分で侵入を検知できない状態が最長1年近く続いた。20年9月には男性社員が同僚のIDカードを無断で使い、原発の心臓部である中央制御室に不正入室した。東京電力は21年9月、小早川智明社長を減給30%、3カ月の処分とした他、原子力部門の責任者と原発所長を更迭した。


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