円安が町工場を直撃、原材料コスト増で「我慢も限界」…中小は競合で価格転嫁も難しく

2022年4月29日 06時00分
28日、20年ぶりに1ドル=130円台を付けた円相場を示すモニター

28日、20年ぶりに1ドル=130円台を付けた円相場を示すモニター

 円安はものづくりを支える東京の中小の町工場の経営に影を落とす。輸入価格を押し上げ、原材料を海外から仕入れる町工場にとっては原材料費の増加に直結するためだ。これまではコストの増加分を販売価格に上乗せ(転嫁)できない町工場も多くあったが、経営者からは「我慢も限界」との声が上がる。輸入品などの価格も上昇し消費者からも悲鳴が上がり始めた。
 「1ドル=130円台の円安が続けば5月か6月に、また原材料費の値上げの波が来る。納入先に理解してもらうしかない」
 外国為替市場で急速な円安が進んだ28日、東京都大田区で、自動車部品などに使われるプラスチック製品の加工工場を営む60代の男性社長は、納入価格の引き上げを検討していることを打ち明けた。
 この工場では月20万円程度だった電気代が30万円に増加。しかし納入先の反応を見て、社長は「価格転嫁は難しい」と値上げを切り出せずにいたが、限界を感じ始めているという。
 一方、大田区の別のプラスチック加工業の男性社長(48)は「コスト増加分は自社で吸収するしかない」とため息をつく。納入先の大手メーカーから競合他社と価格を比較する「相見積もり」を取られるなど、安さを求められることが多いためだ。日本商工会議所が28日に発表した中小企業の景気調査では、円安進行が業績に与える影響に「デメリット(損失)が大きい」と答えた企業の割合は53.3%と半数を超えた。
 円安は消費者にも深刻な悪影響を及ぼし始めた。都内のスーパーで働く男性会社員(27)は、電気代や食料品の値上げで月1万円ほどの負担増を感じており「残業を増やすしかない」と嘆く。節約しようとこの冬は暖房を使わず毛布をかぶって過ごし、ジュースをやめ水を飲むようにした。
 国内に住む外国人も円安に苦しむ。都内の専門学校に通うベトナム人男性(22)は「ベトナムに少ししか仕送りができなくなる。3〜4年は日本で働きたかったけれど…」と卒業後の進路についても悩んでいる。(大島宏一郎、山田晃史)

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