大提灯がない 観光客ショック 浅草・雷門 新調のため来月中旬まで不在

2020年3月21日 02時00分

シンボルの「大提灯」が取り外された浅草寺・雷門=12日、東京・浅草で

 東京・浅草寺の雷門につるされている大提灯(ちょうちん)が新調されるため取り外された。四月中旬まで浅草はシンボル不在の日が続く。旅行ガイドの表紙も飾る名所なだけに、お目当ての観光客は驚いたり、悲しんだり。一方、新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが落ち込む商店主からは「提灯がないのは珍しい光景なので、これ目当てにお客さんが来てくれれば」と期待の声もあがる。 (加藤健太、天田優里)
 名古屋から家族四人で雷門を訪れた近藤美奈子さん(48)は「提灯の前で写真が撮りたくて来たのに。大ショック」。イタリアの医師ジョバンニ・カルディッロさん(27)は「日本らしい景色を会員制交流サイト(SNS)に投稿したかった」と残念がった。
 雷門は江戸時代末期に焼失、一九六〇年に松下電器産業(現パナソニック)創業者の故松下幸之助さんが寄進して再建を果たし、大提灯も奉納された。高さ三・九メートル、幅三・三メートル、重さ七百キロ。傷み具合を見ながらほぼ十年ごとに新調してきたが、今回は二〇一三年以来、七年ぶりとやや前倒しに。浅草寺の担当者は「台風の接近などで折り畳む回数が増え、傷んでいたようだ」と話す。
 取り外し作業は十日にあり、浅草寺の修繕などを請け負う「御用出入り」の建設会社「新門」(台東区)の職人が提灯を引き下ろして少しずつたたんだ。制作は京都の老舗「高橋提燈(ちょうちん)」が行う。
 同社によると使用する和紙は福井県産。風雨に耐えられるよう、強く厚みのある和紙を大提灯専用にすいてもらっている。のりは粘り強くしなやかに仕上がる配合。大提灯の赤色は日光で退色しやすいため、年月を経ても鮮やかに映える特別な絵の具を選んでいる。
新しい提灯は四月十七日にお披露目される。
 前回新調した一三年は提灯の写真を印刷した仮設シートを雷門にかけた。今回は何もかけられず遮るものがなく、整然と並ぶ仲見世を雷門から一直線に見渡せる。
 新型コロナの影響で雷門は観光客が普段より少ないが、提灯がない光景を珍しがってカメラを構える人も。仲見世で昆布専門店を営む杉本雅大さん(81)は「六十年間この商売をやってきて初めて売り上げゼロの日を経験した」と先が見通せない不安を漏らしつつ、「新しい提灯が戻ってくるころには浅草のにぎわいも戻ってきてほしい」と期待していた。

再建された雷門。初代の提灯がつるされている=1960年

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