市庁舎移転、正式決定 さいたま市議会 条例改正案可決 10年後めどに新都心へ

2022年4月30日 07時45分

投票する議員ら=さいたま市議会で

 さいたま市役所の本庁舎を浦和区から大宮区のさいたま新都心地区へ移転させるための「市役所の位置に関する条例」の改正案が二十九日、市議会臨時会で可決された。市が目指す二〇三一年度をめどとする移転整備が正式に決定し、現庁舎跡地の利活用についても今後議論が本格化する。(前田朋子)
 二十八日午前十時に始まった臨時会は日をまたいで続き、本会議での採決は二十九日午前一時半ごろになった。採決は記名式で、議員六十人のうち旧浦和市域選出の三人が退席し、五十七人が投票。賛成四十八、反対九で、条例改正に必要となる出席議員の三分の二以上の賛成を得て可決された。
 市庁舎の位置を巡っては、〇一年のさいたま市発足前に旧浦和、与野、大宮の三市が交わした合併協定書に「将来の新市の事務所の位置については、さいたま新都心周辺地域が望ましいとの意見を踏まえ(中略)検討する」との記載がある。合併後は旧浦和市の本庁舎を使用してきたが、移転は二十年来の課題だった。
 清水勇人市長は昨年二月、施政方針演説で「さいたま新都心バスターミナルほか街区」(大宮区北袋町一)への移転を表明。同年五月の市長選四選を受け議論が活発化していたが、現庁舎地の跡地利用計画が明確でなく、周辺住民を対象に開いた地元説明会では反発も相次いでいた。
 改正条例案の可決を受け、清水市長は時折声を詰まらせながら「『成人』を迎えたさいたま市の輝かしい未来に向けた大きな一歩になると確信している」と述べた。六月定例会に整備関連の補正予算案が提出される見込みで、移転に向けた動きが本格化する。

◆火種残す玉虫色の決着

 二十年来の課題にようやく結論が出た。二十八日に招集された臨時議会は合意形成に手間取り、閉会したのは二十九日午前二時前。最後の最後まで調整に時間がかかった背景には旧市間の対立感情や、市側の説明が後手に回ったことで特に現庁舎地周辺の住民らの不安感を払拭(ふっしょく)できなかったことがあった。
 「(議案が)通ったのは感無量。これで本当の意味で合併が完結・成就した」と万感の思いを込めたのは、旧大宮市議時代に旧三市の合併協定書に署名した鶴崎敏康氏(見沼区、さいたま自民党)。議会の市庁舎等整備検討特別委員会の委員長も務め、新都心移転の旗振り役を務めた。
 一方で、鶴崎氏が団長を務める会派内でも議論は割れた。浦和区選出の帆足和之氏は二十六日に会派を離脱。今月市が行った浦和区の地元説明会で出席者から「(移転で)浦和の誇り、ステータスはどうなってしまうのか」などの声があったとして、本会議に先立つ総合政策委員会で「地元の合意形成ができていない」と移転に強く反対した。
 委員会での採決では、委員長を除く十一人のうち七人が移転に賛成、三人が反対し、旧浦和市の南区選出の議員一人が退席。最後は委員会独自に「将来的にさいたま市役所の所在地については、さいたま新都心にふさわしい住居表示の実施を検討すること」との文言を付帯決議として付けて決着した。その後の本会議での採決では帆足氏と共産党の七人、南区選出の無所属議員一人が反対票を投じた。
 今後の街づくりを考える上でも大きな節目となったが、付帯決議は浦和区住民らの反発を和らげるため、賛成議員からも繰り返し提案される「新庁舎地を中央区に組み入れて飛び地とする」案に配慮したもの。なお含みを持たせた政治決着に「大宮区住民の反発も予想され、玉虫色にしたことで火種は残るかもしれない」と危ぶむ議員もいる。(前田朋子)

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