障害児の希望校、認めず 就学先指定「差別なし」 横浜地裁判決

2020年3月19日 02時00分
 重度障害を理由に就学先を神奈川県の特別支援学校に指定されたのは違法だとして、川崎市の光菅(こうすげ)和希君(8つ)=写真(右)=と両親が地元小学校への通学を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(河村浩裁判長)は十八日、県と市の教育委員会の判断が妥当性を欠くとは言えないなどとして、請求を棄却した。
 原告側弁護団によると、障害を理由にした差別的扱いを禁じる障害者差別解消法が二〇一六年に施行後、就学先指定を巡って行政の違法性を問う訴訟は初めて。
 判決理由で河村裁判長は、障害の有無にかかわらず一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」は特別支援学校での教育を排除するものではないと指摘。和希君の教育的ニーズに合致し、安全な学習の場を提供するものだとした。
 学校教育法施行令は、就学先の決定に当たり保護者の意見を聞くと定めており、原告側は「本人・保護者の意向が最も重要な要素」と主張したが、「施行令は専門家の意見聴取も求めており、解釈として採用できない」と退けた。
 和希君は難病の先天性ミオパチーで人工呼吸器を装着。看護師が学校を訪問する市の医療的ケア支援事業が人工呼吸器使用の子どもを対象外としているのは、市立小学校で受け入れた例がないことなどから「障害者に対する合理的配慮を欠く不合理な差別とまで言えない」と認定した。
 訴状などによると、一八年四月の小学校入学に際し、両親は地元の川崎市立小を希望したが、市教委は「専門的な教育が適切」として県の特別支援学校に就学するよう通知。両親は地元小の特別支援学級が適切とする主治医の診断書を提出したが、決定は変わらなかった。

◆地元の友達と学びたい

 希望した地元の小学校に通えないまま二年がたとうとしている。重度障害を理由に神奈川県立の特別支援学校に就学指定された光菅和希君(8つ)。司法にも願いは届かず、障害のない友達と共に学んで遊び、成長する機会は奪われたままだ。両親は「障害があってもなくても同じ子ども。可能性を信じてほしい」と訴える。
 三月上旬、川崎市宮前区の自宅。人工呼吸器を付けた和希君がお気に入りの鉄琴をたたきながら、童謡のメロディーを口ずさんでいた。母悦子さん(50)が合間にたんを吸引する。「友達と遊びたいね」と聞かれると、「うん!」とうなずいた。移動はバギーで、たん吸引などの医療的ケアが欠かせない。それでも地元小学校にこだわるのは、障害のある子もない子も一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」を幼稚園で体験したからだ。
 友達が手を取って踊りを教えてくれ、できないことがあれば優しく助けてくれた。集団生活にもなじんだ。「みんなの中にいることで吸収できたことがたくさんある。だから地元の学校に通わせてあげたい」と悦子さん。和希君も「みんな、みんな」と友達と一緒にいたいことを訴えた。

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