三重県が厚生労働省方針の内容を逆に伝える文書を作成 大麻栽培規制を巡り県議への説明に使用

2022年5月2日 12時20分
 三重県に神事用大麻の栽培免許を申請した農業法人(同県南伊勢町)が高額なフェンスなどの設置を求められた問題に絡み、県薬務課が、厚生労働省の方針とは異なる内容の文書を「国」の見解として作成していたことが分かった。同省は昨年、農家に過度な負担を強いるような産業用大麻の管理要件緩和を都道府県に通知していたが、文書はこれを否定するような内容となっていた。同省監視指導・麻薬対策課は県の担当者に注意した。
 本紙は4月9日、南伊勢町の農業法人「伊勢麻」が連作障害を避けるため、これまでの栽培地と別な畑での栽培免許を申請したものの、県から高額なフェンス設置を求められて断念していたことを報じた。文書は、県の対応を問題視した県議への説明で使われた。

◆規制緩和のはずが「強化」を示唆

 文書は、都道府県による規制の弾力化を求める厚労省の昨年9月の通知を紹介する一方で、2016、17年に規制強化を求めた通知について「現時点において見直しをしないこととされた」と厚労省の見解と異なる内容が記載されている。また、今年3月に厚労省に設置された大麻規制検討小委員会についても、規制強化へと再転換するために設置したと誤解させるような書き方をしている。

三重県が県議に説明するために作成した文書

 厚労省の担当者は「具体的なやりとりは控えたい」としている。県薬務課の担当者は「厚労省に説明に行った際、いくつかの点で厳しくしかられた。『全体的にダメ』ということだった。関係者には申し訳なく思っている」と説明。「次年度から伊勢麻への対応も考えたい」と見直しも示唆した。文書は事前に三木恵弘・医療保健部次長など県幹部から承認されていたという。三木次長は「対応は薬務課に任せている。コメントすることは何もない」としている。
 伊勢麻振興協会理事の新田均・皇学館大学教授は「三重県の検査でも伊勢麻の有害成分THC(テトラヒドロカンナビノール)は極めて微量だった。県の幹部が何にこだわっているのかがよく分からない」と話している。(椎谷哲夫)

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