「桜を見る会」の刑事確定記録 国民が真実を知る上で重要な公益情報 検察は恣意的判断せず公開を
2022年5月3日 06時00分
刑事確定記録の公開は、知る権利を支える重要な制度の一つだ。桜を見る会の夕食会を巡る今回の事件の記録は、国政にも関わる公共性の高いもので、その情報に国民がアクセスすることは保障されねばならない。それでも現実には検察庁からの閲覧記録が出づらい実情がある。(小沢慧一)
◆同じ人が請求して閲覧できなかったケースも
法律は裁判記録を原則公開とし、非公開は関係者の名誉や生活の平穏を脅かす恐れがある場合など例外的とされる。だが判断をするのは検察官。非公開の詳細な理由は示されず、恣意的に判断されかねない問題がある。今回も申請から閲覧まで一年かかったうえ、安倍元首相の供述調書は開示されなかった。
同じ人が請求しても、立場の違いで閲覧できなかったケースもある。ジャーナリストの江川紹子さんは、オウム真理教の記録の閲覧を申請して不許可となったが、大学教員の立場を強調した二度目の申請では通ったといい「誰に対しても開示しているかはわからない」と語る。
◆米国ではネットで閲覧可能
国民の司法への監視という理念のもと、米国では裁判記録がインターネットで閲覧できる。起訴状や判決文はもとより、証拠の防犯カメラ映像や銀行の取引記録まで自由に見られる。
裁判記録にはセンシティブな情報も含まれ、利用側にも細心の注意が求められる。一方、安倍元首相や秘書らが検察にどのような供述をしていたのかは、国民が真実を知る上で重要な公益情報だ。それが検察の恣意的判断で隠されれば、民主主義の点検ができなくなる。裁判記録は誰のものなのか問い直す必要がある。
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