「ロシア、5月9日に宣戦布告の可能性」 英国防相が指摘 戦争移行なら「敵国」市民は拘束の恐れも

2022年5月2日 21時10分
プーチン大統領(AP)

プーチン大統領(AP)

 ロシアのプーチン政権が、9日の対独戦勝記念日に合わせ、「特別軍事作戦」と称するウクライナ侵攻の位置付けを「戦争」に引き上げ宣戦を布告するとの観測が、英国などで広がっている。「戒厳令」が敷かれた場合は市民の出国が制限されたり、敵対国とみなされた国の出身者が拘束されたりする可能性があり、暮らしや経済に大きな影響が出そうだ。
 「ロシアは9日に戦争状態を宣言するのではないか」。ウォレス英国防相は4月28日、地元ラジオでこう語り、目的はより多くの兵力の動員だとの見方を示した。根拠は示さなかった。ウクライナ国防省も「ロシアが総動員に動く可能性はある」としている。

◆背景に苦戦 さらなる兵力動員か


 こうした観測の背景にはウクライナでのロシア軍の苦戦がある。侵攻当初に目指した首都キーウ(キエフ)早期制圧は失敗し、東部と南部で占領地域を広げているが「進軍は遅滞している」(米国防総省)との見方がもっぱらだ。集結させた兵力の4分の1は戦闘不能になっているとされ、戦闘の継続には動員が必要となりつつある。
 戒厳令発令には「ロシアへの攻撃、または差し迫った脅威があると判断された場合」との条件があるが、発令されれば市民に加え、ロシア在住の外国人の生活にも影響する恐れがある。
 ロシアの法律では軍事作戦が「戦争」に引き上げられた場合、ロシアに住む人々は「国籍を問わず権利と自由が制限される可能性」を規定。ロシアと交戦する国の国籍を持つ市民については、拘束することができるとも定められている。
 戦争相手はロシアの領土を攻撃する国に限らず、武器を供給する組織も想定。ロシアのボロジン下院議長は2日、「欧米諸国はウクライナに武器を送り、紛争当事国の一員になりつつある」と交流サイト(SNS)に投稿しており、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が宣戦布告の対象になる可能性もある。

◆ロシア評論家は「戦争移行の合理的な理由ない」


 国営メディアは、4月下旬からウクライナ国境に近いロシア西部で、ウクライナ軍からインフラへの攻撃が相次いでいると報じている。ロシア側が主張する「被害」が開戦の口実となる可能性もある。
 一方、ロシアの政治評論家は「ウクライナでロシアが負けているわけではない。軍事作戦を戦争へ引き上げる合理的な理由はなく、ロシア西部で非常事態宣言を敷く程度の措置にとどまるだろう」と予想する。

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