きょう憲法記念日 10代が考える平和 明治学院大・国際学部生に聞く

2022年5月3日 07時23分
 ロシアによるウクライナ侵攻など国際情勢が変化する中、平和や戦争を巡る議論が起こっている。若い世代はどう考えているのか。三日の憲法記念日に合わせ、横浜市戸塚区の明治学院大国際学部で「平和学」を学ぶ二年生の三人に、現況の受け止め方や平和主義を掲げる日本国憲法への考えを聞いた。(吉岡潤)

◆武力侵攻「衝撃だった」

安田さん

 「衝撃だった」と、安田大地(たいち)さん(19)と本間のどかさん(19)は口をそろえる。ロシアによる武力侵攻。安田さんは「小さい頃から平和教育を受けてきて、先生たちも明言していたわけではないけれど、戦争はもう起きないというニュアンスだった気がする。それが起こってしまった」と話す。
 核兵器廃絶を目指す活動に携わる本間さんは、核の使用を示唆した同国のプーチン大統領の発言に「危機感を覚えた」と明かす。大量虐殺も伝えられ、「なぜ止められないのか。国連に対する不信感や無力感を同時に抱いた」。水上建(たける)さん(19)は日本国内の反応が気になった。「核シェアリング(共有)や敵基地攻撃能力の議論が出てきたのが怖いなと」

本間さん

 戦争の放棄をうたう憲法九条はどう映るのか。水上さんは「平和を構築するための先進的なシステムではないか」と表現する。「同じ軍事力を持てば戦争は起こらないという抑止論の理屈は、逆に侵攻する可能性もあるとなりかねない。九条を世界に発信することで平和につながるのでは」。本間さんは被爆者の話を聞く度に「戦争は繰り返してはいけない」と強く意識するようになった。「九条は守り続けなければいけない」と言葉を強める。
 本間さんは「世界の一万三千発の核がいつ使われるか分からない状況は平和ではない」と言い、学んでいる平和学を「自分が生きたいと思う世界に変えていくためのツール」と捉える。安田さんは「自分が生きづらさを感じるものに対抗する手段」と定義。「授業では平和は暴力がない状態と習う。今の僕にとって、暴力は貧困やいじめとか、それがあったら生きていけないもの。そこからどう逃げるか、乗り越えるか、生きやすくするか」と語る。

水上さん

 三人は自分たちができることに思いを巡らす。本間さんは核兵器廃絶の活動を始める前、「ハードルが高い」と感じていた。だが、国会議員に会って働き掛ける体験を通じ、「少しは影響を与えられるかな」と気持ちが変化したという。
 安田さんは「まず自分で考えること、そして意見を持つこと。いろいろな団体と意見を共有したり、自分で団体を立ち上げたり、SNSなどのツールで発信したりもできる」と話す。
 水上さんは新基地建設に揺れる沖縄・辺野古を訪れたり、入国管理センターに収容された外国人の証言を集めたドキュメンタリー映画を見たりしたといい、「とりあえず知ること」と答えた。「ひどい仕打ちを受けている人たち、抑圧されている人たちがいる。知ることがこれからの自分につながっていく」

◆明治学院大・阿部浩己教授 非暴力的な発想広げよう

「憲法について知り、考えてほしい」と語る阿部教授=横浜市戸塚区で

 四月から明治学院大国際平和研究所の所長に就いた阿部浩己(こうき)教授(63)は、緊迫する国際情勢を背景に「日本国憲法の非暴力的な理念を、今後も追求していくのか。重要な局面に入ってきている」と指摘する。
 国際法や平和研究が専門。講義で教える「平和学」では、平和の対極の概念は「暴力」になる。「平和を実現するためには、手段も含めて非暴力的であることが平和学の柱。それは日本国憲法の考え方に通じる」。抑止力として、例えば核兵器を備えることは暴力的手段となる。「暴力的手段を用いると、平和の実現そのものが脅かされるというパラドックス(逆説)に陥る」
 日本国憲法は前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」とうたう。阿部教授はこの理念に着目する。「戦争を起こさないために必要なのは、外交によって信頼関係を築く努力を続けることだ」。そして、非暴力的な発想を広げるために、国内で人権を保障し、差別をなくす重要性を唱える。
 改憲を目指す動きがある。「議論の前提として、憲法をよく知ってほしい。そしてどうすべきか、人任せにせず、自分のこととして考えてほしい」と話す。(吉岡潤)

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