<ぱらぱらじっくり 教育に新聞を>本村小の「認める指導」 互いに尊重し良さ伸ばす

2022年5月3日 07時50分

だれの意見も尊重される雰囲気が児童の積極性につながる=本村小学校で

 子どもたちが本来それぞれの内面に持っている「良さ」を、できるだけ伸ばす。否定しないで、良さを認めることを徹底して大切にする。そんな「認める指導」に、東京都港区立の本村(ほんむら)小学校(山村登洋校長)が学校を挙げて三年がかりで取り組んだ。児童たちの間にも、互いを尊重するムードがこの学校の「常識」として根付いたようだ。
 昨年度の三年一組の授業。児童らは地元のスーパーマーケット「サミットストア」三田店の企業努力について調べ、わかったことがらを記事とイラストで紹介するミニ新聞を作った。さらにスーパーのPR方法についても考えてみるという設定で、児童らがアイデアや課題を出し合った。
 児童同士も互いの良さを認め合う。そのムードづくりにはハンドサインを使った。もし級友の意見と自分が同意見ならチョキを出す。違う意見ならグー。ほかの意見を言いたければ人さし指を立てる。ハンドサインを出し合い、互いの意見を尊重し合う時間の積み重ねが、共感的な人間関係の素地になった。自分が発言する意見が必ず尊重される安心感がある。児童らは積極的に手を上げ、気後れすることなく発言できていた。
 自分の中に生じた問いや疑問は、付せんに書き込んで黒板にどんどん貼っていく。問いを付せんの形で可視化することで、授業への関心度が高まっているようだった。
 本村小学校は港区教育委員会の研究奨励校として二〇一九年度から二一年度までの三年間、「認める指導」の成熟を模索。全校を挙げて教師と児童が一緒に取り組んだ。
 山村校長は「認める指導といってもすべて認めるのは難しいが、(やってはいけない)一線を越えない限りはとにかく認めていく。認める空間を(学校の中に)つくってあげる。三年間で先生たちはこの認める指導ができるようになった」と話す。
 本村小学校があるのは周囲に外国大使館が点在し、地下鉄の広尾駅や麻布十番駅を最寄り駅とするエリア。中学受験に挑戦する児童が多く、特に高学年で教室のムードが荒れる傾向があった。学びや人間形成の場である小学校として、互いに尊重し合う人間らしさを身につけてほしいとの願いから「認める指導」に取り組んだ。
 学校全体で挑んだ三年間の研究は、桜美林大の石黒康夫教授らが支援した。児童らが自ら「問い」をつくる授業を組み合わせるアイデアで「認める指導」との相乗効果を目指した。石黒教授らの取り組みはTILA教育研究所のホームページに詳しく記されている。 (東松充憲)

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