護憲派1万5000人声合わせ「今こそ憲法を守れ」 憲法記念日の大規模集会、3年ぶり開催

2022年5月3日 19時34分

デモ行進する集会の参加者たち=いずれも東京都江東区で


 日本国憲法施行から75年を迎えた憲法記念日の3日、護憲派の大規模集会が東京都江東区の有明防災公園で開かれ、1万5000人(主催者発表)が参加した。過去2年はコロナ禍で中止され、護憲派が「5・3」に結集するのは2019年以来3年ぶり。改憲派がロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、戦争放棄をうたう9条の改正論を声高に叫ぶ中、「今こそ憲法を守れ」と声を合わせた。(加藤益丈)

護憲派の大規模集会でプラカードを掲げる人たち

◆「憲法9条は戦後最大の危機」

 集会では、マスク姿の参加者たちが「#憲法改悪に反対します」などと書かれたプラカードを掲げた。ロシアのプーチン大統領をこき下ろすプラカードも目立った。
 主催者を代表して壇上に上がった平和団体代表の藤本泰成さんは「9条を『非現実的』という人に『敵基地攻撃能力や核保有で国民の命を守れるのか』と問いたい。国民の生活を圧迫し、平和が壊れるだけだ」と批判した。
 その後も続々と護憲派の識者が登壇した。
 「残念ながら9条は戦後最大の危機を迎えている」と訴えたのは、国会の憲法審査会の傍聴を続ける大江京子弁護士。「市民の尊い犠牲の末、戦争の惨禍を起こさせないと誓い、日本国憲法を定めた。この決意を捨てさって良いわけがない」と呼びかけた。
 上智大の中野晃一教授(政治学)は「戦争を防ぐには抑止力と、先に攻めるつもりがないというメッセージが重要。9条をなくせば抑止力に頼るしかなくなり、無限の軍拡につながる。9条を守ることが安全保障につながる」と強調した。
 集会後、参加者は「憲法を守り、生かす社会を実現しよう」などとシュプレヒコールを上げながら周辺をデモ行進した。

ロシアのウクライナ侵攻を非難するプラカードを掲げる人たち

◆ウクライナ危機に乗じた改憲論議に「待った」

 集会の参加者たちは、ウクライナ危機に乗じた改憲論議に神経をとがらせた。
 「『このままでは日本も危ない』と言って危機感をあおるが、戦争になったら犠牲になるのは庶民だ」。東京都世田谷区の赤松熊雄さん(80)は、防衛力強化を主張する自民党をけん制する。
 太平洋戦争の終戦直後は食べ物がなく、雑草を食べて飢えをしのいだ。そんな戦争の悲惨さを味わっているからこそ、「国を守るため」と言われても心に響かないという。「これからの世代には同じ経験をしてほしくない」と平和憲法の維持を切望した。

護憲派の大規模集会に集まった人たち(本社ヘリ「あさづる」から)

 赤松さんと一緒に会場を訪れた福島和夫さん(74)=世田谷区=も「ウクライナの問題が起きて以降、憲法を変えようという声が出てきたのが気掛かり」と心配する。「プーチンのように間違った指導者が出てきても、それを阻止できるのが9条じゃないか」と語気を強めた。
 ロシアがウクライナ侵攻で核兵器の使用をほのめかす一方、安倍晋三元首相らは米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」の議論を求めている。
 会場でウクライナへの支援金を募っていた原水爆禁止日本協議会の前川史郎さん(41)=北区=は「(核兵器を巡り)近年になく緊迫した情勢になっている」と懸念した。核兵器廃絶を訴える高校生グループの岡村波奈はなさん(17)=川崎市=も「核共有の議論が進んでしまうのは心配だ」と話していた。(佐藤航)

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