戦争物語るクロマツの傷跡 市川の市民団体が小学高学年向け小冊子

2022年5月4日 07時36分

「戦争の傷跡」が残るクロマツを知ってもらおうと製作された小冊子

 「市の木」であるクロマツは生きている戦争遺跡−。第2次大戦中、航空機の燃料にするためクロマツの幹から松やにが採取されていたことを伝えようと、市川市の市民団体「市川緑の市民フォーラム」が、小学校高学年向けの小冊子を作成した。市内の小学校などに配ってもらうため、同フォーラムは計1678冊を市教育委員会に贈った。(保母哲)
 大戦中は石油が不足したことから、軍部は幹の表皮を剥いで松やにを採取するよう指示。市川市でも市民が手作業で採取したものの、実際にはほとんど役に立たなかったといわれている。
 こうした歴史を掘り起こそうと、同フォーラムのメンバーは二〇二〇年八月〜二一年二月にかけ、市のクロマツ台帳に記載されている二千二百本のうち、民家敷地内などを除く千七百八十三本を調査。採取痕が残るのは七十一本、可能性があるものの判断未定が二百八十六本だった。
 今回作成した小冊子「クロマツが伝えてくれる−戦争と市川」はA5判、本文三十六ページ。クロマツの調査概要とともに、地元の県立国分高校漫画研究部の生徒六人が、紙芝居風に当時の松やに採取を描いた漫画を収録した。漫画のタイトルは「いたかったね クロマツさん」。
 さらに市川と同様に、県内では船橋、四街道、成田、野田、いすみ市などでも松やにやクロマツの根にある「松根油(しょうこんゆ)」を採取していたことを紹介。県外では秋田県、東京都、石川県、長野県などでも松やにが採取されていたことをまとめている。二千五百冊を作成した。
 市教委には四月二十八日に代表者三人が訪れ、市内の小学校四十校分と市立図書館用などで計千六百七十八冊を寄贈。クロマツの調査活動をする各地の団体にも届けることにしている。

市教委の担当者に、小冊子を手渡す佐野郷美さん(右)=市川市で

 同フォーラム事務局長の佐野郷美(さとみ)さん(67)は「二度と戦争をしてはいけないことを若い世代に伝えたい」。クロマツの調査を提案した、市史編さん委員で日本民話の会元会長の米屋陽一さん(76)も「平和教育の授業でこの小冊子を使ってもらい、子どもたちや先生が語り部になってくれれば」と期待している。
 希望者には無料で提供(郵送料は希望者負担)する。問い合わせは同フォーラムの川島さん=電047(710)2004=へ。

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