<東海第二原発 再考再稼働>(40)避難、1カ月で済まない ふうあいねっと代表・原口弥生さん(50) 

2022年5月4日 07時48分
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で茨城県内に避難してきた人たちを支援するネットワーク「ふうあいねっと」を運営している。二〇一二年五月、「茨城NPOセンター・コモンズ」に集まっていた福祉関係のNPO、震災後に活動を始めた大学関係者、生協、社会福祉協議会などが集まって発足。交流会を開くなどして、どこにいるのか全く分からなかった避難者同士をつないできた。
 福島県によると、茨城県内への避難者は現在、約二千六百人。住民票を移した人は、本人の意向とは関係なく避難者名簿から落ちてしまうこともあるため、実際はもっと多いと思う。
 震災から十一年がたち、避難者の家族の形態も変わりつつある。大家族だった高齢者が分散避難で夫婦だけになり、パートナーが亡くなると一人暮らしになる。交流会に参加する人はもともと外向的な人が多い。閉じこもったり、引きこもったりする人は少なくないが、本人にとって必要な時間と考え、私たちはただ待つしかない。
 新型コロナウイルス禍で、ようやく地域になじんできたのに、感染したらそこに住めなくなると不安を覚える避難者もいる。感染防止のため交流会が中止になると、人に会ってたわいのない話ができる場がなくなる。改めて交流会が避難者の生きがいになっていると感じた。
 今年一月、県内で交流活動を続ける九団体を紹介する冊子「いってみっか2(ローマ数字の2)」を作成し、避難者に配った。これだけの団体が茨城にはあると知ってほしかった。
 帰還困難区域の双葉町と大熊町はまだだが、楢葉町などには人が戻っている。だが、役場には全国の役場から集まった職員も多いそうだ。震災当時にいた人は辞め、震災を知らない人が働いている。何のための復興なのか、どんなまちづくりを目指しているのかと考えてしまう。
 福島に戻った人たちからLINEでメッセージが届く。福島は昨年二月、今年三月と震度6強の大地震に襲われた。ようやく地元に帰って生活を再建している中、繰り返される災害に「勘弁してほしい」とめいる声を聞く。福島第一で計画されている処理済み汚染水の海洋放出にも、(県東部の太平洋に面した)浜通りから「あれをやったら海はもう終わりだ」という嘆きが漏れる。見えないところで被害は続いている。
 三十キロ圏に九十四万人が住む日本原子力発電東海第二原発(東海村)では、実効性ある広域避難計画はつくれないだろう。過酷事故が起これば、多くの人たちは不安に駆られて避難しようとする。国や行政の視野は事故後一カ月までで、三十キロ圏の住民を外に出すことがメインテーマ。だが、計画の中身を知っている住民ばかりではなく、避難そのものが一カ月では済まない。福島事故では避難の過程で亡くなる人が多かった。東海第二の再稼働には賛成できない。(聞き手・林容史)
<はらぐち・やよい> 1972年、福岡県久留米市生まれ。米ニューオーリンズ大学院、東京都立大大学院修了。2004年、茨城大人文学部社会科学科講師。14年から同教授。専門は環境社会学。一般社団法人ふうあいねっと代表。水戸市在住。

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