沼津で昨年復活 名物コロッケ「ラブパンチ」 ハートの中は大人の味 有志、思い出の味に「パンチ」

2022年5月5日 07時50分

コロッケの復活に尽力した太田幸一さん(左)と大村文子さん=いずれも沼津市の三の浦総合案内所で

 沼津市内浦地区で2021年10月に復活した名物コロッケがヒットしている。約40年住民に愛されたが、20年春に販売していた総菜店が閉店。残したいと考えた有志が店主から作り方を学び、独特の味をさらに際立たせた。かわいらしいハート形を一口食べると、大量のこしょうが口内を強く刺激する。生まれ変わったコロッケの名は「ラブパンチ」。有志は地区の新名物をさらに広めようと力を入れている。(渡辺陽太郎)
 ふわっとした衣をかむと、ジャガイモの甘みを感じる。数秒後、舌先をこしょうの刺激が襲う。飲み物を口に含んでも消えない。「このパンチがビールに合う。大人の味です」。復活させた有志の一人で、「とさわや旅館」の太田幸一さん(44)は笑顔だ。

ハート形のラブパンチ

 ラブパンチのルーツは、一九七八年開業の「惣菜(そうざい)のなかむら」(現ひもののなかむら)のコロッケだ。ピリリと利いたこしょうが特徴で、内浦の日々の食卓やお出かけのお供として親しまれた。店主が高齢となっても、近隣住民が手弁当で店を手伝うほど愛された名物商品だった。
 店は干物販売にも力を入れ、年々多忙になっていた。徐々に総菜販売は減り二〇年春、総菜部門は閉店。閉店の意向を知った地元の三津(みと)郵便局の山下清文局長や太田さんらは「コロッケを残そう」と動き始めた。
 店主は快諾。観光案内所「三の浦総合案内所」の大村文子さんが助言を受け、試行錯誤して、有志と店主が納得する味にたどりついた。ただ「『思い出の味』を残すだけでいいのだろうか。地区外の人にも味わってほしい」と考え、再現は後継商品の開発に変わった。

こしょうがたっぷり入った中身

 隣接する西浦地区産の「あしたか牛」を採用し、こしょうは増量。「地元愛」を表現したハート形にした。太田さんは「最初は二百個分の材料を用意した。味は自信があったけど、売れるかは不安だった」と販売開始時を振り返る。
 しかし、それも杞憂(きゆう)に終わった。復活を喜ぶ地元の人や内浦が舞台のアニメファン、サイクリストなど観光客が次々購入。こしょうの「パンチ」が強烈な記憶として残ったのか、リピーターも多い。旅館ではこれまで約千六百個売れた。
 太田さんは「もっとリピーターを増やし、地区外の人の『思い出の味』にもしたい」と意気込む。新型コロナウイルス収束後は、有志で市内外のイベントに積極的に出向き、PRするつもりだ。
 ラブパンチは「とさわや旅館」や「浜の家」など複数箇所で販売している。場所により値段は異なるが、一個二百円程度。

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