アクションスポーツに官民から熱視線 東京五輪、X GAMESで日本勢の活躍、競技にとどまらない可能性

2022年5月6日 06時00分

東京五輪のスケートボード男子ストリートで金メダルを獲得した堀米雄斗=2021年7月25日、 有明アーバンスポーツパークで

 スケートボードや自転車BMXなどのアクションスポーツが存在感を増している。先月、トッププロが集う世界最高峰の大会「Xゲーム(エックスゲーム、X GAMES)」が千葉市で日本初開催された。昨夏の東京五輪での日本勢の活躍も記憶に新しい。スポーツの枠にとどまらない可能性や価値を見いだす官民の関係者が、熱視線を送っている。(兼村優希、高橋淳)

◆世界最高峰「X GAMES」初の日本開催

 歴史と伝統に彩られたプロ野球の舞台が、この時ばかりは新潮流のスポーツ一色に染まった。千葉市のZOZOマリンスタジアムで3日間開催されたXゲームに、熱心なファンや家族連れら計約4万人が来場。スケートボードの東京五輪金メダリスト堀米雄斗選手(23)らの派手な技を、眼前で堪能した。
 選手は見せたい技を繰り出し、難技に挑むライバルをたたえる。東京五輪でも見られた光景に、観客から拍手が送られた。堀米選手は「スケートボードが日本でもスポーツとして認められてきている」とうれしそうに会場を見渡した。

◆全国でパーク急増、部活動にも

 現に、スケートボードなどが楽しめるスケートパークは増えている。NPO法人日本スケートパーク協会の調査では、2017年から4年間で、公設は100カ所から243カ所に。先月には千葉市がオープンさせるなど増加傾向は続く。岡山市にある私立の岡山理科大付属高は校内にパークを造り、来春から全国で初めて部活動を始める。裾野は広がりつつある。
 日本スケートボード協会理事の西川隆さん(56)は、アクションスポーツが受け入れられているのは「東京五輪あってこそ」と話す。「一昔前は不良の遊びと思われていたかもしれないけど、テレビで見たおじいちゃんやおばあちゃん、行政の人が興味を持ってくれた。その下地があったからXゲームが支持された」
 1人で楽しめる競技特性も要因に挙げる。「団体競技の人間関係を嫌がる子が最近は少なくない。コロナ禍で密を避けなければならないことも影響した」と指摘する。

◆地域活性化にも一役

 アクションスポーツは音楽やファッションと親和性が高く、それらに敏感な若者や世界への訴求力が大きい。Xゲームの協賛社には多様な業種が名を連ねた。そのうちの1社、出版大手の講談社は訴求力を「大変大きい」と評価し、「他競技よりもエンターテインメントの要素が強く、シーンを切り取るといった点でもソーシャルメディア向き」とみる。同社は「KODANSHA」の海外への浸透を図る。
 まちづくりに生かす動きも広がる。BMXやブレイクダンスで名選手を輩出する川崎市は、アクションスポーツを呼び水の1つにして「若い世代が集いにぎわう街」を目指している。神奈川県横須賀市は先月末、全日本フリースタイルBMX連盟と地域活性化でタッグを組む協定を結んだ。
 こうした取り組みが結実するのも、アクションスポーツが社会で市民権を得ることが前提。Xゲーム大会組織委員会の河野真二実行委員長は「元々1年で終わるつもりはない。日本文化に浸透させたい」と継続開催に意欲を示す。一過性に終わらず、定着するか。

 Xゲーム 1995年に米スポーツ専門局ESPNが創設。米国など10カ国以上で開催され、延べ600万人以上が観戦。テレビ放送や交流サイト(SNS)などを通じても視聴者を魅了する。「エクストリーム(過激な)スポーツ」とも呼ばれる競技を複数、同時に実施する形式で、夏季はスケートボード、BMXフリースタイルやモトクロス、冬季はスノーボードやフリースタイルスキーなどが行われてきた。出場選手は主催者が招待するトッププロに限られる。音楽やファッションと融合し、観客がフェスティバルのように楽しめる雰囲気も魅力。若者の五輪離れを懸念する国際オリンピック委員会(IOC)も参考にした。

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