アメリカが22年ぶり0.5%の利上げ 「量的引き締め」も導入し物価高抑制狙う

2022年5月5日 20時50分
 【ワシントン=吉田通夫】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は4日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、0.5%の利上げを決めた。上げ幅は通常の2倍で、ITバブルに沸いていた2000年5月以来、22年ぶりの大きさ。FRBの利上げにより日米の金利差は拡大。円安ドル高が進み、日本では輸入品などが一段と値上がりする恐れがある。
 FRBは利上げのほか、市場に出回る現金の量を減らす「量的引き締め」の導入も決定した。金利と現金流通量の両面で資金の流れにかける「ブレーキ」を強め、記録的な物価高の抑制を目指す。
 米国では昨年からコロナ禍からの経済活動の再開による供給不足で物価が高騰し、さらにロシアによるウクライナ侵攻で燃料や食料品も急騰。3月の消費者物価指数は前年同月比8.5%増と40年3カ月ぶりの水準となった。
 利上げは3月の前回会合に続いて2回連続。主要な政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は0.75~1.0%に引き上げる。FRBのパウエル議長は「次の2回の会合でも0.5%の利上げを検討するだろう」と、6月と7月の会合でも大幅な利上げが続く可能性を示した。

5月4日、米ワシントンで記者会見するパウエル議長=吉田通夫撮影

◆日本との金利差拡大 中長期的な円安圧力続く

 米連邦準備制度理事会が、物価高を抑えるため、22年ぶりとなる大幅な利上げに踏み切ると同時に、社会に出回る現金の量を減らす「量的引き締め」の導入も決めた。低金利と量的緩和から抜け出せない日本との金利差は拡大し、長期的な円安圧力は強まり続けている。
 FRBのパウエル議長は4日の記者会見で「インフレがもたらしている困難を認識しており、抑えるため迅速に動く」と強調。米国内の物価高を抑えるため、今後も利上げを含む急速な引き締め策を継続する方針を表明した。
 国際的な資金の流れは、金利の低い国から高い国に移る傾向がある。預貯金などで有利なためで、特に国際的に信用度の高い米ドルの利上げは影響が大きい。欧州中銀(ECB)や英イングランド銀行(BOE)など各国はFRBと歩調を合わせて量的緩和の縮小や利上げなど金融引き締めにかじを切り、資金流出の防止に動いている。
 しかし、日本は賃上げを伴う消費拡大にはほど遠く、低金利と金融緩和から抜け出せない状態。円を売ってドルを買う動きに拍車がかかり、3月1日に1ドル=114円台だった為替相場は、この2カ月で130円台になった。家計は所得が上がらない中、燃料価格の上昇や輸入物価の高騰という「悪いインフレ」に圧迫され始めている。
 今回は、市場の一部が予想していた「0.75%の利上げ」の可能性をパウエル氏が否定したため、過度な利上げ懸念が後退したとしてやや円高に動いた。しかし、大和総研ニューヨークリサーチセンターの矢作大祐研究員は「短期的な円安は一服したが、中長期的な円安圧力は強まっている」と語った。

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