「親ガチャ」データで裏付け 貧困層の子「授業わからない」3倍超、進路「中高まで」4倍超

2022年5月6日 06時00分
 家庭の貧困が子どもの学習理解や進学を阻む傾向が、内閣府の初の全国調査で明らかになった。貧困層の子どもの学校の授業が「分からない」割合が、比較的暮らし向きが安定している層の3倍以上で、進学希望が「中学・高校まで」にとどまる割合は4倍以上だった。生まれた環境が人生を左右しかねない「親ガチャ」がデータ面からも裏付けられ、対策が求められている。(渥美龍太)
 調査は昨年2〜3月、全国の中学2年生とその保護者5000組に郵送で実施し、回収率は54.3%。世帯の収入を調べ「貧困層」「準貧困層」と、比較的に暮らし向きが安定している「それ以外」に分け分析した。
 子どもにクラスの中での成績をどう思うかを聞くと、貧困層は「やや下のほう」と「下のほう」の合計が52%と、それ以外の26%の2倍に上った。授業の理解度で「ほとんどわからない」と「わからないことが多い」の合計は、貧困層が24%となってそれ以外の7.3%の3.3倍だった。
 子どもにどの段階まで進学したいかを聞くと「高校まで」と「中学まで」の合計は貧困層が33.9%で、それ以外の7.9%の4.3倍。「大学またはそれ以上」は貧困層が28%で、それ以外の64.3%の半分以下だ。保護者に聞くと、傾向はさらに鮮明だった。
 保護者に進学の見通しが「高校まで」にとどまる理由を聞くと、「家庭の経済的な状況から考えて」が貧困層では44.4%を占めてトップ。「子どもの学力から考えて」や「子どもの希望」を上回っていた。
 調査の報告書をまとめる検討会の構成員で、貧困家庭の子どもの学習支援などを担うNPO法人キッズドア(東京)の渡辺由美子理事長は「結果の多くは現場の実感とも一致した。親ガチャがあることを認めたうえで、なくしていく施策が必要だ」と話している。

 親ガチャ 親の経済力などで人生が左右される、との考え方を示す言葉。生まれる環境は選べないことを、オンラインゲーム上の電子くじ「ガチャ」になぞらえた。若者がネットスラング(俗語)として使い始めたとされ、昨年の流行語大賞トップ10に入った。

◆「貧困の連鎖」浮き彫り 学力の下支え急務

インタビューに答える成蹊大の小林盾教授=東京都千代田区で

 検討会座長・小林じゅん成蹊大教授の話 明確に「貧困の連鎖」を示す結果が出たことに驚いた。学力関連は親の経済状態によって恐ろしいほど深刻な差が出ている。必要な施策としてまずは子どもの学力の下支えが最優先で、学校外でのサポートが重要になる。行政が民間団体に委託して困窮家庭に無償で授業をすることなどが考えられる。保護者に対しても、ひとり親をはじめとした困窮家庭への就労支援などが必要だ。既存の支援策の利用も十分ではなく、使いやすい環境づくりが求められる。今回は現状では貧困にまで至らない「準貧困層」も調べたが、項目によって厳しい状況にあることが分かった。貧困層と比べて支援策自体が少なく、対応が必要だ。

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