田野素鳩の業績たどる 明治−昭和 皆野出身の画人・文人 小鹿野で企画展 

2022年5月6日 07時25分

多彩な作品が並ぶ田野素鳩の企画展=いずれも小鹿野町で

 現在の皆野町に生まれ、明治から昭和にかけて秩父地域で数々の足跡を残した画人・文人の田野素鳩(たのそきゅう)(本名・一衛(かずえ)、一八八八〜一九六〇年)の業績をたどる初めての企画展が、小鹿野町の小鹿野総合センターで開かれている。八日まで。
 素鳩は、かつての秩父郡白鳥村下田野生まれ。東洋画や書を中心に、地域に根差した活動を続けた。作品の一部は秩父美術館(秩父市)にも所蔵されている。自宅の庭を「親睦園」と名付けて整備し、設置した石碑などを通して自身の世界観を表現した。
 企画展開催のきっかけは、祖父が素鳩といとこ同士という小鹿野町のペン画アーティスト吉田迪子(みちこ)さんが、実家に残る素鳩に関する資料を、昨年十二月から同町教育委員会文化財専門員の山本正実さんと調査したことだった。素鳩の孫に当たる田野達也さんの協力も得て、田野家所蔵の資料と合わせて展示することになった。
 会場には素鳩が手掛けた掛け軸やふすま絵、屏風(びょうぶ)のほか、書など約三十点を展示している。人物画や一九三三(昭和八)年制作の渋沢栄一の肖像画、二〇(大正九)〜二五(同十四)年に日本画家の全国組織「日本研美会」から受けた賞状も並び、中央画壇との関わりもうかがえる。
 作品の状態も非常に良好で、訪れた人たちからは「秩父地域で巡回展を開いてほしい」などの声も上がった。
 幼い頃から素鳩の作品に触れてきた吉田さんは「素鳩の関係者は地元にたくさんいるはず。多くの人たちに見てもらい、ネットワークを広げたい」と話している。吉田さんのペン画三十点なども展示されている。
 午前十時〜午後四時。入場無料。山本さんのギャラリートークも予定している。(久間木聡)

同時に展示されている吉田さんのペン画作品


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