<東海第二原発 再考再稼働>(42)なぜ命懸けで湯沸かす 東海村出身の高校教諭・横関彩子さん(52)

2022年5月6日 07時30分
 高校を卒業するまで東海村に住んでいた。日本原子力発電東海第二原発から西に四キロほどの実家には、今も高齢の両親が暮らす。当時は、鉱山関連の仕事をしていた祖父らと三世代同居だった。
 祖父は原発が危険とは思っておらず、明るい未来をイメージしていたようだが、父の相沢一正(元村議、東海第二の運転差し止め訴訟原告団共同代表)は逆。幼少のころ、一緒に散歩しながら原発の煙突を指さし、放射性廃棄物の問題などを教えてくれた。村には原発関連企業に勤める人も多く、友だちとあまり込み入った話はしなかった。
 一九九九年九月三十日、村内の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)で臨界被ばく事故が起きた。父は「村を原子力頼みにしてはならない」と二〇〇〇年、村議に立候補し、初当選した。村でも不安を感じる人が増えたのだろう。私が原発の問題に関心を持ったのは、そうした父の影響が大きい。
 二〇一一年の東京電力福島第一原発事故の時は、一番下の子どもが零歳と小さかったこともあり、被ばくには特に敏感になった。ウクライナ製のガイガーカウンター(放射線測定器)を手に、「ママ友」たちと汚染状況を首都圏各地で測定して回った。その当時首都圏で特に値が高いと報じられていたのは千葉県(北西部)の東葛地方。JR常磐線の乗車中もガイガーカウンターの値が上がった。
 原発で特に問題だと感じるのは、働く人に被ばく労働を強いていることと、「核のごみ」の処分先が決まっていないこと。この二点だ。
 原発は十二〜十三カ月に一回は止めて、定期検査を受けなければならない。その際、配管やバルブを取り換える作業で被ばくする。全国各地の原発を渡り歩いて、被ばくを繰り返す作業員がいる。
 また、原発の使用済み核燃料を再処理することで高レベル放射性廃液が発生する。再処理は日本原燃が建設中の六ケ所再処理工場(青森県)で行うことになっているが、東海村にも(実証プラントとして稼働し、廃止措置中の)日本原子力研究開発機構の東海再処理施設があり、保管中の廃液が約三百六十立方メートルもある。だが、廃液に含まれる極めて放射能の高い放射性物質を閉じ込めるガラス固化の作業は長く中断。何かあった場合には、広い地域に破滅的な汚染をもたらす恐れがある。ガラス固化体の最終処分場も決まっていない。
 原発はSLの蒸気機関と同じで、お湯を沸騰させて力を得る仕組みだ。なぜ、そんなに命懸けでお湯を沸かそうとするのか。原発が生み出すエネルギーよりも、後処理に費やす「エネルギー」の方がはるかに大きい。
 そもそも現在、東電や原電の原発は動いていないのに、東電管内は電力不足になっていない。東海第二を再稼働しなければならない理由を見つけることはできない。(聞き手・出来田敬司)
<よこぜき・さいこ> 1969年、東海村生まれ。中央大文学部卒。中学校教諭を経て、東京都内の私立高校で英語科教諭を務める。脱原発に向けた活動に取り組む市民団体「たんぽぽ舎」の会員。新宿区で夫と1男2女の5人暮らし。

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