<新型コロナ>都心 ラッシュ消えた 感染対策で出社せず 汐留3割減

2020年3月9日 16時00分

新型コロナウイルスの影響で人出の少ない駅構内を歩く乗客ら=6日午前8時50分、東京都港区の都営地下鉄汐留駅で

 新型コロナウイルス感染症の影響で企業のテレワーク(在宅勤務)や外出自粛が広がったことで、首都圏を中心に鉄道の利用客が減っている。各鉄道とも一~二割減とみられ、オフィスビルが立ち並ぶ都営地下鉄汐留駅(東京都港区)では朝の乗客が三割減。一部路線では朝の通勤ラッシュが消えたという。平日朝、通勤電車に乗り、都心のビジネス街へと向かった。 (岡本太)
 通勤ピーク時間帯の午前八時二十分ごろ、新宿駅から都営地下鉄大江戸線の車両に乗った。ドア近くでも隣の人と触れ合うことはなく、マスク姿の会社員男性は胸の前で携帯電話を操作していた。汐留駅に到着するころには空席も見られた。「いつもはぎゅうぎゅうだけど、今週は明らかに少ない」。汐留駅で降りた会社員の倉田健二さん(41)はそう話すと、勢いよく階段を上がっていった。
 都交通局によると、大江戸線は混雑率最大159%。普段の汐留駅では午前七時半~九時半、約一万人が降車するという。新型コロナウイルスが広がり始めた二月半ば、同時間帯の乗客数は2~4%減。影響は限定的だった。
 ところが同二十六日、電通が汐留にある本社ビルの従業員五千人のテレワークを開始。同じく本社を構える資生堂も全社で八千人規模のテレワークを始めた。同二十七日、政府が小中高校の臨時休校を要請。自粛ムードが一気に広がると、三月二日の乗客数は約31・1%の大幅減となった。
 国土交通省によると、JR山手線では三月二日~四日、朝のピーク時間帯(午前七時四十分~八時四十分)の乗客数が二月上旬と比べて外回りで最も混み合う上野-御徒町間で約24%、内回りで最も混み合う新大久保-新宿間で約22%減少した。JR東日本は、新型コロナウイルスの二月の影響額を百十億円の減収と推定。深沢祐二社長は三月分についても三日の会見で「より大きくなると思う」と述べている。
 都交通局によると、都営地下鉄全線でも利用客は約一~二割の減少の見込み。JRや小田急、東急、西武、京王など私鉄各社も同じ傾向だという。
 汐留駅から約四百メートル、弁当店「かわの」店主の井上康一さん(46)が仕込みの真っただ中だった。「三月に入ってお客さんが一気に減った」。一日の売り上げは約二割減。準備する弁当数を、七百五十食から六百五十食に減らしているが、それでも余る日があるという。
 午後一時すぎ。以前ならまだ三十分は続くという店の前の行列が途絶えると、井上さんがため息をついた。「今がピークなのか、まだ続くのか。終わりが見えない」

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