復興道半ば 将来へ不安 21~25年度事業費、1兆円台に大幅減

2019年12月20日 02時00分

岩手県陸前高田市=7月

 東日本大震災からの復興を巡り、政府は新たな基本方針に二〇二一~二五年度の事業費を一兆円台半ばと盛り込んだ。被災地ではインフラの復旧が進み、震災後十年間の事業規模三十一兆円台前半と比べると大幅に減る。政府は「心のケアなど被災者支援は継続する」と強調するが、被災地では必要な事業に資金が行き渡らなくなることに懸念も出ている。
 津波浸水区域のかさ上げ工事が続く岩手県陸前高田市。工事の遅れで自宅再建が進まない人も多く、中心部は空き地が目立つ。工事は二〇年度末までに終わる見通しだが、その後も登記など事務作業が多く残り、事業完了にはさらに数年かかる。
 市担当者は復興事業費の減少に関し「震災から十年を過ぎれば仕方ないが、ハード整備を担ってきた建設関連などの企業への影響は大きい」とと話す。
 被災地では、巨費が投じられたインフラ復旧にめどが立ちつつある。交通や物流の動脈となる復興道路と復興支援道路は二〇年度に全線開通する予定。災害公営住宅も整備が完了する。
 復興庁は二一~二五年度の事業財源について、所得税増税などで既に確保した分で賄えると説明する。財務省関係者は「増税分が想定より上振れしている。事業規模に違和感はなく、新たな財源は必要ない」と語る。
 基本方針では継続事業として、原発事故被災地の再生や被災者の心のケア、就学支援、産業再生などを挙げた。復興庁は自治体から継続が必要な事業について聞き取った上で経費を算定したとしている。
 宮城県石巻市では、防災集団移転によって造成された住宅地や災害公営住宅で、コミュニティーづくりやお年寄りの支援が課題となっている。
 自治会の運営をサポートする一般社団法人「石巻じちれん」スタッフの田上琢磨さん(32)は、国の支援継続を歓迎する一方、予算縮小で本当に必要な活動にお金が回らなくなる懸念を示す。
 「将来に種をまくことができるような活動かどうか、しっかりと見極めて拠出してほしい。五年で何をどこまで達成するのか国や自治体が議論しないと、その場しのぎの支援になってしまう」と語った。

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