<新型コロナ>都議会が事実上 傍聴中止  希望者、納得できぬまま

2020年3月9日 02時00分

「傍聴の遠慮」を呼び掛ける看板。東京都議会議事堂の出入り口4カ所に設置されている=いずれも5日

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都議会が先月二十八日から本会議や委員会の傍聴を事実上、中止している。都内は首都圏最多の六十四人(八日現在)の感染者が確認されており、傍聴者のリスクを避けるためだが、議会の傍聴は法律で担保されており、東京以外の首都圏六県議会はいずれも制限していない。感染予防といえども都議会の対応は突出している。 (原昌志、小倉貞俊)
 都議会が「傍聴中止」を決めたのは先月二十七日。主要会派でつくる議会運営委員会の理事会が「都議会の傍聴および議事堂見学は、当面中止する」ことを傍聴希望者らに「協力依頼」し、理解してもらうことを申し合わせた。
 都議会棟には、正面入り口や傍聴受付などに「傍聴 見学はご遠慮いただいております」との掲示板を設置。希望者には議会局職員らが、インターネットや庁内モニターの中継での視聴を求めている。
 同局によると、二十八日の本会議一般質問は七人が訪れ、うち六人は立ち去り、一人は庁内モニターの中継を視聴。今月五日の本会議中途議決日は、三人がモニター視聴したという。
 地方自治法は「会議は公開する」と定めており、特別な手続きを経た「秘密会」以外は、本会議傍聴を認めなければならない。ネット中継などは法的な「公開」にあたらないとされ、飲酒などの事情がなければ傍聴を拒めない。委員会もこれに準じた扱いになっている。
 これについて議会局総務課の担当者は「みなさんには理解をいただいている。どうしても傍聴したいという方には感染予防の観点から、強く自粛をお願いする」として、受け入れは「想定していない」と話す。
 都政に関心があり、五日に傍聴しようと訪れたさいたま市の無職守幸彦さん(76)は「マスクをしたり、傍聴人の間隔を空けるなどすればいいのではないか。議員席の様子などはカメラに映らない」と納得できない様子。都議会議運委員長の増子博樹都議は「ウイルスのまん延を阻止したいとの事務方からの要請があり、議会として承知した。傍聴者の体調をチェックできる態勢を整えるなど、万全の対策ができるなら傍聴していただいても良いのでは」と話している。
 都議会は九日から予算特別委員会が始まる。

都議会議事堂の外観

◆他の関東6県議会 制限せず

 都道府県議会は新年度予算案審議など、一年で最も重要な定例会の時期。本紙が関東地方の六県議会(神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬)に取材したところ、傍聴を控えるよう要請した事例はなかった。「せきエチケット」の励行やマスク着用などを呼び掛けるほか、議場入り口にアルコール消毒液や検温機器を用意して対応。各議会とも議員が後援会などの団体傍聴は自粛しているが、一般傍聴者は十数人~数十人規模でみられるという。
 神奈川県はクルーズ船への対応などに追われるが、同議会局は「法律だけでなく県条例でも、県民の議会活動への参加を推進するため会議の公開を掲げている」と制限はしないことを説明。千葉県議会事務局も「県民が県政に触れる大切な機会であり、健康状態に留意して傍聴していただければ」としている。

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