<新型コロナ>世界でデマ拡散 SNSなど情報 注意を

2020年3月7日 16時00分
 新型コロナウイルス感染症への不安が広がる中、予防や日用品の供給に関するデマが会員制交流サイト(SNS)などで飛び交っている。真偽不明の情報がインターネット上で拡散しているが、社会心理学の専門家は国立感染症研究所などの「一次情報」にあたってほしいと呼び掛ける。
   (松野穂波、横井武昭、野尻智也)
 「免疫機能向上」や「ウイルス対策」に-。フリーマーケットアプリ「メルカリ」では三月に入って花こう岩(御影石)が多数出品され、実際に売買が成立している。
 「花こう岩から出る放射線が新型コロナウイルスを分解する」などと記したSNSが発端とされるが、国立研究開発法人・産業技術総合研究所地質調査総合センターは「誤情報」と断定。花こう岩から出る放射線は微量で、体内のウイルスには効果がないという。
 「二六~二七度の温度でウイルスは死ぬ。お湯を飲めば予防できる」というのもデマ。感染症指定医療機関である公立陶生病院(愛知県瀬戸市)の武藤義和・感染症内科部長は「人間の体内は三八度前後だから、すでに死んでいることになる」と否定。
 「鼻水とたんが出る場合は新型コロナウイルスでない」との話もあるが、武藤医師は「それこそが初期症状の一つ」と指摘する。
 デマが消費行動を混乱させる事態も起きた。二月下旬、「マスクの原料と同じ」などとして、トイレットペーパーが品薄になるとの虚偽情報がSNSで出回り、各地のドラッグストアやスーパーに客が殺到した。
 日本家庭紙工業会によると、トイレットペーパーは98%が国内産で原料もマスクとは異なる。経済産業省によると、国内在庫は国民全体が三週間分使える量(三億五千万ロール)があるが、輸送が追いついていない。早期の品薄解消に向け、店頭への輸送量を平時の倍にしている。

◆ユニセフが警告「誤情報の流布危険」

 【ニューヨーク=共同】国連児童基金(ユニセフ)は6日、新型コロナウイルスに関し誤った情報が広がっているとして、注意を呼び掛ける声明を出した。例えば最近、インターネットを通じ、ユニセフの情報として「アイスクリームなどの冷たい食べ物を避けると感染しにくくなる」と数カ国語で広まったが「もちろん全くのうそ」とした。
 「衣服を日なたに干せばウイルスは死滅する」という誤情報もあった。ユニセフは「不正確な情報を広めたり、信頼できる人の名前を悪用して誤情報を権威付けしようとしたりするのは危険だ」と強調。誤情報の流布をやめるよう求めた。

◆「一次情報に接して」

 デマはなぜ広がるのか。社会心理に詳しい東京大総合防災情報研究センターの関谷直也准教授(44)は「新型コロナウイルスは世界共通の話題。中国・武漢の医療崩壊を知った人たちが強い不安を抱き、流言が広がっている」と説明する。
 関谷准教授は、多くの人の不安を招く感染症を地震などと同じ「災害の一つ」と説明。ただ、原発事故による放射性物質が事故直後をピークに低減したのに対し、新型コロナウイルスの感染は今も拡大している。
 情報を求めて多くの人がインターネットで検索し、玉石混交の情報がネット上にあふれる。各国のうわさレベルの情報もネットで瞬時に広がるという。
 情報の真偽を個人で判断するのは難しく、関谷准教授は「感染症研究所など、信頼できる一次情報にあたることが重要」と指摘した。

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