[見えない敵] 愛知県豊田市 橋口澄子(69)
2022年5月8日 16時28分
◆わたしの絵本
◆300文字小説 川又千秋監修
[ホワイトカーペット] 東京都小金井市・無職・70歳 菅野義明
夢を見ました。
私がレッドカーペットの上を手を振りながら楽しそうに歩いている不思議な夢。
なぜ、こんな夢を見たのだろう。
寝る前にアカデミー賞の記事を見たからかな…と思いながら、朝早く公園を歩いていると、昨晩の雨や風で桜は無残にも散っていて、広場は真っ白な絨毯(じゅうたん)を敷いたように花びらで覆われていました。
真ん中の一本道は、くっきり白く浮かび上がり、まだ誰も歩いていないので足跡もありません。
そうだ! ここを歩こう。
アカデミー賞がレッドカーペットなら、ここは“アサハヤイデ賞”のホワイトカーペット。
花びらで飾られた一本道を、まるで賞を取った映画俳優のように歩いてみました。
昨晩の夢、叶(かな)いました。
<評> 映画人ならずとも憧れる、真っ赤な夢舞台。世界中の注目を集めて歩みを進めるスターの気分を想像しながら、こちらは真っ白な一本道を颯爽(さっそう)と! 早起きのご褒美は、朝一番の爽やかな気分。
[虹] 愛知県刈谷市・無職・75歳 菊池とよ子
大空にかかる虹は、七色に輝いて美しい。
太陽やお月さまとちがって、どこに出るかわからない。
見えたと思っても、すぐに消えてしまう時がある。
玄関を出て、そこで、突然、虹を見つけた。
大声で、となりの奥さんに、
「虹が出たよ!」
と呼びかける。
二人で空をながめて、
「虹はきれいだねえ」
「見られて良かったわ」
と感動する。
虹は何カ月かに一度くらいしか見ることができない。
だから、いいのかもしれない。
虹が毎日出たら、誰も気にとめないかもね。
<評> 雨上がりの空に、美しい七色の架け橋。誰もが知っている自然現象には違いないのですが、見つけた時の幸運感は格別です。つい、近くの誰かに晴れ渡った気分をお裾分けしたくなります。
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