辺野古新基地の断念など求め首相官邸前でハンスト 元山仁士郎さん「沖縄返還50年祝える状況ではない」

2022年5月10日 10時46分

 15日の沖縄返還50年を前に、米軍普天間ふてんま飛行場(沖縄県宜野湾ぎのわん市)の移設計画に伴う名護市辺野古へのこの新基地建設断念などを求め、宜野湾市出身で一橋大大学院生の元山仁士郎じんしろうさん(30)が9日、東京・永田町の首相官邸前でハンガーストライキを始めた。「半世紀たっても、米軍基地の押しつけは変わっていない」。元山さんの言葉には、沖縄にずっとのしかかる負担の重さがにじむ。(望月衣塑子、曽田晋太郎)

辺野古新基地建設に反対し、首相官邸前でハンガーストライキを始めた元山仁士郎さん=9日、東京・永田町で

◆「物質的に豊かになっても人権尊重されず」

 「沖縄では15日に施政返還50年の式典が行われるが、とても祝える状況ではない」。9日午前10時、元山さんは官邸前に集まった報道陣に語り出した。
 なぜ祝えないのか。「50年前から何が変わったか。インフラは整い、物質的には豊かになったが(沖縄県民の)基本的人権は尊重されていない。辺野古埋め立ての即時断念と普天間飛行場の数年以内の運用停止、日米地位協定の運用にかかる日米合意の公開と、協定見直しを政府に求める」と元山さん。歩道に置いた椅子に座り続けた。
 官邸前には、元山さんの行動に共感する市民らが駆け付けた。その一人、父親が沖縄出身で都内在住の與儀よぎ睦美さん(62)は「若者が自分の命を削って訴えなければならない状況はおかしい。沖縄以外の人たちも、見て見ぬふりをしないで受け止めてほしい」と力を込めた。

◆県民投票実現に奔走

 2019年、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票が行われ、7割が反対票を投じた。当時、署名活動などを通じて県民投票の実現に奔走した元山さんは、県内の一部自治体が不参加を表明すると、全県民が投票機会を持つべきだとして、ドクターストップを告げられるまでの5日間、県内でハンストを決行。その後、県内の全自治体が県民投票の実施を決めた。
 今回のハンストは先月30日、沖縄の県政与党などが主催したオンライン形式の県民大会で、米統治下の琉球政府の元職員らが「50年前と何も状況は変わっていない」と語ったことが契機。「この状況を自分より若い世代に手渡していいのか」と思い立ち、辺野古埋め立ての即時断念などの要求を政府が受け入れるか、ドクターストップがかかるまで続けると決意した。

◆政府はなお「唯一の解決策」

 元山さんの訴えに対し、松野博一官房長官は記者会見で「日米同盟の抑止力の維持と、普天間飛行場の危険性の除去を考えれば、辺野古移設が唯一の解決策」と述べるにとどまった。
 元山さんは、自民党本部前(10日)や公明党本部前(11日)など都内のほか、15日は沖縄復帰50周年記念式典会場の沖縄コンベンションセンター(宜野湾市)付近でハンストを継続。並行して新基地建設中止を求めるネット署名を「Change.org」で集め、ハンスト終了後、岸田文雄首相らに提出する。

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