イギリスからの分離掲げるシン・フェイン党が第1党に 北アイルランド議会選で史上初

2022年5月9日 21時20分

議会の前で、当選した議員らと並ぶシン・フェイン党のオニール副党首(中央)=PA via AP

 【ロンドン=加藤美喜】5日投票の英領北アイルランド議会選(定数90)は8日、全議席の結果が判明し、アイルランドとの統一を掲げるカトリック系のシン・フェイン党が27議席を獲得、史上初の第1党となった。同党は北アイルランド紛争でテロ活動を重ねた過激組織アイルランド共和軍(IRA)の元政治部門。英メディアは「歴史的勝利」と報じた。
 改選前まで第1党だった英帰属派でプロテスタント系の民主統一党(DUP)は2議席減の25席となった。一方、アイルランドとの統一か英帰属かの伝統的な構図からは一線を置く中道の同盟党が、改選前から9議席増の17議席を得て第3党に躍進した。
 シン・フェイン党のオニール副党首は7日、優勢の情勢を受けて「新たな時代が到来した」と宣言した。同党は選挙戦中はアイルランドとの統一問題は前面に出さず、生活費の高騰問題など暮らしに密着した争点を掲げていた。今後、統一に向けた住民投票への機運が高まるか注目されるが、英BBC放送によると、4月時点で住民投票実施を支持する世論は3分の1程度とされ、投票実現にはまだ時間がかかるとの見方が英メディアでは優勢だ。
 1960年代後半から約30年間に及んだ北アイルランド紛争では、プロテスタント系とカトリック系住民の衝突で約3500人が犠牲になった。悲劇を繰り返さないため、98年の包括和平合意の下、両派の代表政党が共同で自治政府を運営してきた。
 選挙後、第1党から首相、第2党が副首相を擁立するのが原則だが、両党の合意がないと新政府は発足できない。DUPはただちに応じない構えで、早くも新政府発足が遅れる懸念が出ている。

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