食材高騰で学校給食もピンチ 都内5区で値上げ 揚げ物やパン減らすなど苦心「いつまで乗り切れるか」

2022年5月10日 21時36分

食材の価格が高騰する中、味や栄養バランスを落とさないように工夫された給食を食べる生徒=東京都葛飾区の区立小松中で(中西祥子撮影)

 食材の値上がりが相次ぐ中、限られた費用での調理が求められる学校給食の現場では対応に苦慮している。本紙の調べでは、東京23区のうち5区が4月に給食費を引き上げた。それでも予算内に収まらないところは、揚げ物やパン・麺類の回数を減らすなどメニューを工夫する。食材の値上がりは続いており、給食の担当者からは「今の給食費でいつまで乗り切れるのか」と不安の声が漏れる。(押川恵理子)
 「伝票を見て汗が出るくらい価格が上がっている。こんな事態は初めて」。そう話すのは葛飾区小松中学校の栄養士、坂詰瞳さん(45)。給食でよく使われる食材の価格を昨年4月と比べると、国際的な大豆価格の高騰で食用油(大豆原料)は18リットルあたり、3250円から約1・6倍の5240円に上昇。主要産地である北海道の天候不順で不作だったタマネギは1キロ140円から約2・9倍の400円に上がった。北南米の干ばつなどで、小麦やトウモロコシといった穀物価格も高騰している。
 食材の値上がりを受け、葛飾区は4月に同校の1食あたりの給食費を326円から345円に引き上げた。引き上げ分は区が公費で全額負担した。だが、それでは追いつかず、食用油を多く使う揚げ物は週1回程度から月2、3回に削減。主食はパン・麺類を減らし、米を週3回から4回に増やす方向だ。肉類も豚肉を鶏肉に変えたり、こま切れ肉やひき肉を使ったりして工夫する。坂詰さんは「限られた予算で栄養価を保ちながら良い献立にしたい」と話す。

給食費の4月値上げ(東京都23区)

 新宿区も区の全額負担で給食費を引き上げた。米や野菜、果物は友好都市の長野県伊那市などから公費で仕入れ、小中学校に支給する工夫も。中央区は区と保護者が折半で、墨田と杉並の両区は保護者が全額負担する形で給食費を引き上げた。
 保護者からは、給食の質を確保するため「値上げは必要」と容認する声がある一方、小学3年生の息子がいる杉並区の50代男性は「物価上昇に伴って、給食費もどんどん上がってしまうのか。税金を投入すべきだ」と訴える。
 政府は保護者の負担増を軽減するため、各自治体の判断で給食費に新型コロナウイルス対応の「地方創生臨時交付金」を活用できるようにした。ただ、交付金の使途は自治体に任されており、実際に給食に活用されるかは見通せない。

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