<曇りのち晴れ>ハクとおばあさん

2022年5月12日 07時32分
 わが家には、孫が拾ってきた雄ネコがいる。子猫の時から毛の色が真っ白で、孫が「ハク」と名付けた。時々リードを付けて近所を散歩する。
 そのハクに定期的に会いに来るおばあさんがいる。わが家から数百メートル離れた場所に住む吉田さん(仮名)だ。年齢は90歳を超えている。足が弱り、「お達者カー」(高齢者用手押し車)を押しながら歩いて来て、玄関のピンポンを押す。
 吉田さんの家には保護ネコが4匹いる。しかし、警戒心が強く「触らせてくれない」そうだ。そこで、人慣れし、知っている人には体をこすり付けて甘えるハクに会いに来るのだ。
 吉田さんが来るとハクは手押し車の上にちょこんと乗り込む。時には腹を上にして「ニャー」と伸びをする。
 吉田さんは玄関前で20分ほどハクをなでたりして過ごすと、毎回「はい、おみやげ」と言って「お汁粉の缶詰」をくれる。食べるのは妻だ。
 「少しでも歩かないと、足が弱ってしまうから」と吉田さん。ハクがその役に立つなら、それはうれしい。 (長久保宏美、60歳)
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厚い曇り空でも雲の向こうには必ず青空がある−
そんな思いを胸に、記者が暮らしの出来事を綴(つづ)ります。

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