<社説>韓国新政権発足 日韓改善へ首脳会談を

2022年5月12日 07時44分
 韓国大統領に就任した尹錫悦(ユンソンニョル)氏が、自由や民主主義、市場経済を重視する姿勢を打ち出し、日本との関係改善にも意欲を示した。
 日韓両国が、安全保障を巡る認識や価値観を共有しながら、関係回復がなかなか進まないのは信頼欠如が一因だ。まずは、首脳会談を早い時期に実現し、信頼関係を再構築するよう求めたい。
 就任式に出席した林芳正外相との会談で尹氏は、対日関係を重視すると明言、岸田文雄首相との会談にも期待感を示した。林氏との会談は中国に先んじて行われ、日韓関係立て直しへの決意が読み取れる。
 日韓関係の悪化は元徴用工や慰安婦問題が引き金だが、その根底には価値観の違いがあった。
 民主化運動出身の文在寅(ムンジェイン)前大統領は日本に厳しく、北朝鮮との関係を重視した。日本政府も対韓輸出規制の強化など、政治的報復と受け取られかねない行動に出て問題を複雑にした面もある。
 尹氏は就任演説で「自由」という文言を三十五回も使い「人権、公正、連帯」を国政の基盤とすることも表明した。民主主義諸国と価値観を共有する姿勢は、日韓関係にも好影響を与えるだろう。
 日韓間の歴史を忘れてはならないが、それがすべてではない。韓国の大衆文化は、若者を中心に日本に広く浸透している。コロナ禍前、多くの韓国人観光客が日本を訪れた。隣国との関係正常化は、双方の政治家の責務でもある。
 日本の「言論NPO」が昨年、韓国のシンクタンクと行った調査では「日韓関係を改善すべきか」との問いに「そう思う」との回答が韓国で71・1%、日本でも46・7%あった。現状を放置すべきではないとの声は双方で多い。
 林外相は会談で尹氏に対し「日韓、日韓米の戦略的連携がこれほど必要な時はない」と伝えた。厳しさを増す東アジアの安全保障環境やウクライナ情勢を踏まえた発言だが、韓国も同じ立場だ。
 二〇一九年十二月以来行われていない対面での日韓首脳会談実現が急務だ。首脳同士が信頼関係を結び直した上で、懸案の解決策をともに考えるべきである。

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