マイホーム売却、注意点は 仲介トラブル多発

2022年5月12日 09時17分
 相続や転勤、家族構成の変化などで、マイホームの売却を検討している人もいるだろう。多くの人にとって一生に何度も経験するものではない高額な取引。失敗しないためには、仲介を依頼する不動産会社の選び方が大切になる。どんなことに注意すればいいのか。 (砂本紅年)
 「強引に安価な売却契約をさせられ、解約には高額な費用がかかると言われた」「うその説明を信じて契約してしまった」−。全国の消費生活センターなどには、こうしたマイホーム売却に関する相談が毎年千件以上寄せられている。

◆後から修理費負担

 その多くは不動産会社絡み。「仲介業者には物件の不具合について説明していたのに、買い主から『聞いていない』と、売却後に修繕代を請求された」など、業者の説明不足や、売却後の修理費負担、手数料などのトラブルが目立つ。国民生活センターの担当者は「売買契約書をよく確認してほしい」と呼び掛ける。
 書籍「初めてでも損をしない不動産売却のヒケツ」(サンルクス)の著者で、不動産会社社長の山本健司さん(39)は「不動産会社の社員の給料は基本給に加え、不動産売買契約に伴う歩合給からなる」と話す。多く契約できればその分収入も増えるため、成約に不都合なことは積極的に説明しない人もいるという。
 マイホーム売却は一般的に、不動産会社探し、査定、媒介契約などを経て、購入希望者と売買契約を結ぶ。仲介手数料や印紙税、登記費用などがかかり、測量費や解体費などが必要なケースもある。このうち、不動産会社に支払うのは、売買契約後の成功報酬となる仲介手数料。国土交通省の告示で「売買金額の3%+六万円+消費税」と上限が決められている。
 一つの物件につき、業者が売り主、買い主の双方から仲介手数料を得ることを、業界では「両手仲介」と呼ぶ。業者にとっては受け取る仲介料が二倍になるので効率的だ。
 しかし、「いわば裁判の原告と被告の両方の代理人を同一の会社が務めるようなもの。高く売りたい売り主と、安く買いたい買い主の利益は相反する」と山本さん。売買のケースによっては早く成約に至るなど、良い結果につながることもあるが、「売り主、買い主それぞれの要望を擦り合わせた中間の提案をしがち。希望通りの条件で売れないなど、双方の不利益になることがある」と指摘する。

◆安い手数料の理由

 両手仲介を狙う業者による不正な「囲い込み」も起きやすい。物件の売買を自社で独占し、他社から「購入希望者がいる」と連絡が入っても、「先客がある」などと虚偽情報でブロックするのだ。売り主にすれば、なかなか買い手が現れず、値下げに応じざるを得ない状況になることもある。
 仲介手数料の無料化や値引きを掲げる一方で、囲い込みが前提となっていたり、事務手数料などの名目で別途請求したりするケースもあるという。トラブル防止のために、山本さんは「仲介手数料が安い場合、理由を尋ねた方がいい」と助言する。
◇マイホーム売却諸費用
・仲介手数料
・譲渡所得税(税率は所有期間が5年以下は約40%、5年超は約20%)=控除や軽減税率の制度あり
・印紙税
・登記費用
・その他、場合によりハウスクリーニング、測量、解体の費用、残っている住宅ローンの返済手数料

任せきりにせず、取引内容理解を 査定は複数業者に、情報収集大切
住宅ジャーナリスト・山本久美子さん

 納得できるマイホーム売却がしたいなら、売り主は仲介を依頼した不動産会社から定期的に現状報告を受けるなどして、取引の内容を理解しようとする姿勢が大事です。任せきりにせず、手間暇をかけて自分で情報を集め、比較検討しましょう。
 売却の成否は担当者の力量によるところが大きく、会社の規模はそれほど関係がありません。物件に高い査定額を出す業者が必ずしもいいわけでもありません。複数の業者に査定を依頼し、それぞれの価格の根拠や売買実績などを聞いてください。実際に担当者に足を運んでもらう訪問査定もした方がいいです。
 媒介契約は一般的には、他の業者に任せない専任媒介と専属専任媒介のいずれかの方が、担当者が本腰を入れる動機づけになります。チラシの配布など販売計画を尋ね、状況を小まめに報告してもらいましょう。人気物件など高く売れると分かっているならば、一般媒介といって、複数の業者に仲介を依頼して競争させる契約もあります。
 なかなか売れず、囲い込みが心配になったときは、全国の不動産情報共有サービス「レインズ」の売り主専用画面で、物件の「取引状況(ステータス)管理」という項目を確認。「公開中」「書面による購入申し込みあり」「売り主都合で一時紹介停止中」の三種類あり、自分が把握している状態と異なる場合は不動産会社に確認してください。

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