<Q&A>生活必需品は値上がり ぜいたく品は値下がり…どうして? 買わざるを得ない商品は値上げしやすく  

2022年5月13日 06時00分
 生活必需品の物価が急騰している。全体の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)が直近実績の3月で前年同月比0.8%上昇したのに対し、必需品に特化してみると同4.5%も上昇。欧米と比べ物価は安定しているといわれてきたが、くらしへの打撃は既に大きくなっている。(渥美龍太)
 総務省は食品や電気・ガスなど生活に欠かせない品目に特化した「基礎的支出」といわれる物価指数を作成しており、2%以上の上昇が7カ月続く。これに対して自動車などの高額品やレジャー関連などに特化した「選択的支出」の指数は前年割れが続き、3月も3.3%下落している。
 日銀元審議委員で野村総研の木内登英たかひで氏は「物価は生活必需品が上昇し、ぜいたく品が下落するという二極化が起き、低所得者ほど厳しい状況に陥っている」と指摘している。

◆ぜいたく品は値上げ難しく

 Q 必需品の物価は上がっていたのですか。
  はい、これは物価統計の見方と関係します。よく引用される全体の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、物価の大まかな傾向をみるためのものです。価格が下落したぜいたく品も混在し、必需品の高騰が見えにくいのです。
 Q 必需品とぜいたく品でなぜ差が出るのですか。
  必需品は買わざるを得ないので企業が値上げしやすく、ぜいたく品はコロナ禍などで収入が減るとすぐ購入を控えられるので値上げが難しいためです。全体の指数も、4月には携帯電話通信料の値下げの影響が一巡して前年同月比で2%前後に上昇しそうですが、必需品に特化した基礎的支出との差は続くとみられます。
 Q 物価上昇分は賃金が上がるのでしょうか。
  春闘の賃上げ率は5月6日時点で2.1%の上昇ですが、これも見方に注意が必要です。賃上げ率には、年齢や勤続年数に応じて毎年上がる「定期昇給」分も含んでいます。物価上昇率と比較する場合、定昇分を除いて賃金がどれだけ底上げされたかを示す「ベースアップ(ベア)をみるのが適切」(エコノミスト)とされます。ベアは6日時点で0.62%の上昇にとどまっています。
 労働専門のシンクタンク労働政策研究・研修機構の松上隆明氏は「物価上昇で賃上げ分が吹き飛び、実質賃金の低下は避けられない。労働組合が将来の物価上昇予測まで組み込んでベア要求するなど春闘の見直しが必要」と話しています。

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