BBQ、引っ越し請け負い…背景に接待攻勢か 国立病院機構病院の元課長を収賄容疑で逮捕

2022年5月13日 06時00分

元課長が逮捕された千葉県四街道市の「下志津病院」(共同)

◆他社の見積価格を教えたか

 独立行政法人「国立病院機構」の下志津病院(千葉県四街道市)の設備工事を巡り、便宜を図った見返りに約90万円相当の接待を受けるなどしたとして、警視庁捜査2課は11日、病院の元企画課長安彦昌人容疑者(60)=千葉市美浜区高洲=を収賄容疑で、電気製品販売会社「小松電器」(船橋市)社長の松丸隆行容疑者(43)=同市本町=を贈賄容疑で逮捕した。
 捜査関係者によると、安彦容疑者は他社の見積価格を松丸容疑者に教え、受注しやすいよう便宜を図っていたという。
 逮捕容疑では、安彦容疑者は企画課長だった2019年7月~20年9月、病院の設備工事や物品購入の随意契約で小松電器が受注できるよう便宜を図った見返りに、京都旅行や飲食などの接待(約60万円相当)を受けたほか、パソコンなど5点(約30万円相当)を受け取ったとされる。捜査2課は2人の認否を明らかにしていない。
 同課によると、企画課長は工事発注や調達の契約事務を取り仕切る立場。安彦容疑者は今年2月、自主退職したという。
 国立病院機構の職員は「みなし公務員」にあたる。機構は12日、「元職員の逮捕は誠に遺憾で、深くおわび申し上げる」とのコメントを発表した。

◆前社長「生き残るには営業努力」 接待は否定

 汚職事件の背景にあるのは、業者による幅広い接待攻勢だ。接待旅行やバーベキューなど、あの手この手で国立病院機構側に食い込み、契約をもぎ取ろうとしていた実態が浮かぶ。
 船橋市の共同住宅1階に入る社員数人の小松電器。贈賄容疑で逮捕された松丸隆行容疑者の父親でもある前社長は、「うちみたいな小さい電気屋が生き残るには、営業努力を重ねるしかない。エアコンが壊れたと言われれば、すぐに駆けつけるし、『便利屋小松』ですよ」と語る。
 「得意先にどれだけ足を運ぶかが肝心で、うちの場合は相手が病院だった。病院に食べさせてもらってきた」と振り返る前社長。「6年ほど前に息子に会社を引き継ぐまで、接待で仕事を取ろうとしたことは1度もない」と言い切った。

◆メール送り合い「笑」

 国立病院機構は今年3月、一部職員が小松電器と不適切な行為をしていたと発表。接待を受けるなどしていた病院職員ら28人を処分し、うち3人を懲戒解雇した。旅行や飲食、バーベキュー、引っ越し作業の依頼―。松丸容疑者と職員らの親密さは深まり、メールで「だよね笑」と送り合う仲になっていた。
 接待が始まったとされるのは2016年で、松丸容疑者が実質的に経営に携わるようになったころだ。
 同年度の機構との取引額は、13病院との計約1億8000万円だったが、20年度は17病院との計約3億3000万円に増加。民間信用調査会社によると、同年10月期の売上高は約6億7000万円で、機構側との取引がおよそ半数を占めていたことがうかがえる。
 収賄容疑で逮捕された安彦昌人容疑者が同社に便宜を図ったとされるのもこの時期。取引額が急増した背景について、機構は取材に「あくまでも営業力だろう」と接待との関連性を否定するが、捜査関係者は「接待漬けにすることで、多くの仕事を取ろうとしていたのではないか」とみる。
 40年以上前に小松電器を創業した前社長。「積み上げてきたものが崩れた。もう立ちゆかないだろう」と淡々と話した。
(井上真典、榊原大騎)

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