<社説>JR議員パス 廃止含めて見直し急げ

2022年5月13日 07時11分
 衆参両院で議員を務めた山下八洲夫容疑者(79)が在職中に支給されていた期限切れのJR無料パスを使い、東海道新幹線の特急券・グリーン券をだまし取った疑いで逮捕された。議員を退いた後も特権意識が抜けきらない末の許されない行為だが、そもそも無料パスは必要なのか。廃止も含めて見直しを急ぐべきだ。
 JR無料パスは歳費法に基づき衆参両院議員に支給される。有人改札や窓口で提示すればグリーン車を含むJR全線に無料で乗車できる。自動改札を通らないため、利用履歴は記録されない。
 同法は利用目的を「職務の遂行に資するため」と定める。地元選挙区と東京との往復など公務での使用を想定し、衆参両院で年五億円余の予算が支出されている。
 衆参事務局は一年間の有効期限切れや退職の際に返却を呼び掛けているが、個別の返却状況は明らかにしていない。
 国会議員の活動や公務出張の経費を税金で賄うことに異論はないが、交通費は実費精算が一般常識だ。金額も回数も制限のない無料パスは議員特権にほかならない。
 そもそも国会議員には、月額百万円の文書通信交通滞在費(文通費)が支給されている。調査研究広報滞在費へと改称されたとはいえ、文通費もJR無料パスも残すのなら、国民には交通費の二重取りと映るのは当然だろう。
 JR無料パスはこれまでも問題が指摘され、与野党を問わず現職議員による私的利用も後を絶たない。私的利用に罰則がなく、利用履歴も検証できず、事実上どんな目的にも使えるためだ。
 交通系ICカードのように電子化すべきだとの声も出ているが、利用状況を公開しなければ使い方は検証できない。第三者への貸与といった不正も防げない。
 「政治とカネ」に対する国民の厳しい視線に比べ、国会は危機意識を欠くと言わざるを得ない。
 無料パスも文通費も、使途が不透明という点で共通する。
 この際、無料パスは廃止して交通費は文通費からの支出に切り替え、文通費自体も実費精算として使途を公開すべきだ。今国会での抜本的な是正を求めたい。

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