新型肺炎 死者感染、非公表に批判 クルーズ船乗客で厚労省

2020年2月26日 16時00分

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」付近で作業する防護服姿の関係者=25日

 新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客で、二十三日に亡くなった八十代の男性について、厚生労働省は当初、遺族が了承していないことを理由に感染の有無を公表しなかった。了解を得られたとして二十五日夜になって陽性だと明らかにしたが、専門家は「ウイルスの危険性を評価する上で重要な情報。個人の特定につながらず、同意が必要とは思えない」と批判している。
 「これ以上の情報は開示できない」。二十三日夜、厚労省の迫井正深官房審議官は記者説明の場で繰り返した。厚労省が公表したのは、持病がある八十代の日本人男性で、何らかの症状が出たため医療機関で治療を受けていたという内容。報道陣から「公衆衛生上の観点から、感染の有無は公表すべきだ」との指摘が出たが、姿勢を変えなかった。
 加藤勝信厚労相は二十五日の記者会見で、公衆衛生上必要であれば詳細な情報を出すべきだとの考えを示した一方、「死亡した方々の状況については、遺族に了解をいただいた範囲で発表する」と述べた。
 厚労省は、新型コロナウイルスの感染者数や死者数を世界保健機関(WHO)に報告している。厚労省が陽性と明らかにする前のWHO集計(二十四日時点)では、クルーズ船の死者数は前日より一人多い「3」になっており、二十三日に亡くなった男性が感染者として計上されていた。
 感染症に詳しい山野美容芸術短大の中原英臣客員教授は「死者数は感染症を考える上でイロハのイと言える基本的な統計データだ」と指摘。「WHOには報告しておきながら国内ではすぐに情報を出さなかったのは、国民をばかにしている。こうした対応が続けば、亡くなった人の性別や年代すら隠される可能性が出てくる」と懸念を示した。

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