かんぽ 不正黙認体質 郵政社長、辞任明言せず 調査委報告書

2019年12月19日 02時00分

特別調査委の報告書発表を受けた記者会見の前に一礼する(左から)日本郵便の横山邦男社長、日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長=18日午後、東京都千代田区で

 かんぽ生命保険の不正販売で、外部弁護士らでつくる特別調査委員会(委員長・伊藤鉄男弁護士)は十八日、法律や同社の社内規則に違反している疑いのある契約が一万二千八百三十六件に上ったと発表した。報告書の提出を受け、かんぽ生命の親会社である日本郵政の長門正貢社長は同日、都内で会見し「関係者に深くおわび申し上げる」と陳謝したが「経営責任をしかるべきタイミングで発表したい」と述べるにとどめ、辞任を明言しなかった。 (桐山純平)
 調査委は不正の原因について、営業目標を達成するために郵便局などの現場で「不適正な募集を行うことが正当化され黙認される風潮が形成されていた」と指摘したほか、上司から営業職員へのパワハラが横行していたことも認定した。
 報告書によると、違反の疑いのある契約一万三千件近くのうち、十五日現在で営業職員らへの調査を経て虚偽の説明など法令違反が認められたのが四十八件、かんぽ生命の社内規則違反は六百二十二件だった。ただ、調査は依然途中段階で、違反件数は今後も増える可能性は高い。
 内訳では違反の疑いのある契約のうち、社内で販売成績が優秀とされる社員が関わった事例が26%に上った。違反の疑いのある契約を結ばされた顧客は七割超が六十歳以上だった。
 保険販売を担当する社員に行ったアンケートでは、「不適正募集を職場で見聞きしたことがある」との回答が半数を占めた。社内で不正が横行していたことが明るみに出た。
 不正の原因として「募集を担当した職員の一部にモラルに欠け、顧客第一の意識や法令順守の意識が低く、自己の利得を優先させるものが存在していた」と指摘。厳しい営業目標の達成が求められる中、不正の横行が黙認されただけでなく、営業成績が低い社員に対して「おまえは寄生虫だ」と言うなどのパワハラが行われるなど調査委は企業風土を問題視した。
 一方、報告書ではかんぽ生命や日本郵政などの経営陣の責任についての記載はなかった。会見した伊藤弁護士は「今回の調査対象ではない」と述べた。調査委は来年三月末をめどに追加報告書を提出する。
<日本郵政グループ> 旧日本郵政公社が2007年10月に民営化・再編されて発足した企業グループ。政府が筆頭株主の日本郵政の傘下に、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の中核3社を置く。日本郵政、ゆうちょ銀、かんぽ生命は15年11月に東京証券取引所第1部に株式を上場した。全国約2万4000の郵便局を通じて、はがきや手紙、荷物を配達し、貯金や保険などの金融サービスも提供している。

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