アメリカ先住民の子ども「死亡、数万人の恐れ」 虐待横行の寄宿学校問題で報告書

2022年5月14日 21時21分
2021年11月15日、米ホワイトハウスで行われた先住民会議で演説するハーランド内務長官=AP

2021年11月15日、米ホワイトハウスで行われた先住民会議で演説するハーランド内務長官=AP

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】米先住民の子どもを白人社会に同化させるために強制的に収容した米各地の寄宿学校で虐待などが横行した歴史を巡り、内務省は学校で死亡した子どもが数万人に達する恐れがあると指摘する報告書をまとめた。自身も先住民出身のハーランド内務長官は記者会見で「多くの子どもが恐ろしい制度で命を落とした」と声を詰まらせ、先住民社会への支援を強化する考えを示した。

◆政府関与は37州も

 内務省が11日に公表した報告書によると、連邦政府が関与した寄宿学校は1819~1969年に中西部や西部を中心に37州で408校あった。ハワイやアラスカを含む先住民の子どもを親元から強制的に数千キロも引き離し、先住民の伝統文化を断ち切ることにより、白人社会への同化を図り、先住民から固有の土地を奪う目的もあった。
 子どもたちは慣習に反して髪を切られ、先住民の言語を話すことを禁止された。むち打ちや独房への閉じ込め、食事を与えないといった体罰を受け、過密な収容と劣悪な衛生環境で病気も相次いだという。
 報告書は「身体的、性的、心理的虐待が横行した」と指摘。亡くなった子どもは19校で500人を超え、「今後の調査で数千、数万人になるだろう」と推定した。子どもが埋葬された場所は53カ所確認されたが、詳しい位置は公表しなかった。

◆内務長官「いま直面する痛みとして現れ」

 ハーランド氏は11日の記者会見で「先住民のアイデンティティーや言語、文化を一掃しようとした政府の政策は、いま先住民社会が直面する痛みとして現れている」と述べ、先住民に目立つ薬物依存や精神疾患、貧困などの原因となっていると強調。体験者などからの聞き取りを進め、文化や言語の維持のための支出を拡大する意向を示した。自身の祖父母も寄宿学校に入れられた経験があるとも明かした。
 先住民寄宿学校での子どもの犠牲を巡っては、昨年カナダで数百人単位の人骨や埋葬地が相次いで見つかり、同国で世論が紛糾。運営にカトリック教会が深く関わっていたことから、先月にはローマ教皇が先住民に謝罪した。同様の歴史を持つ米国では昨年、ハーランド氏が調査実施を約束していた。

関連キーワード


おすすめ情報

主要ニュースの新着

記事一覧